59-01.帰宅
「ただいま。ジュジュ」
「おかえり♪ アルカ様♪」
「どう? 変わったことはあったかしら?」
「メルビスが移籍したよ。他のクランは一つを除いて一通り接触があった。アルカ様の正体に勘付いて問いかけてきた人は居なかったよ」
問いかけてきた、ね。勘付いても黙っているパターンかしら。
「メルちゃんは?」
「自宅に送った。基礎訓練でね。覚視の習得も済んでるよ」
「順調ね♪」
「あんな逸材をあっさり手放すなんて驚きだよ」
「グレンさんはそれだけ私たちのことも高く買ってくれているのでしょうね」
「アルカ様の人望には改めて脱帽するよ」
「ジュジュの手腕にも驚きよ♪ よく私抜きで回してくれているわね♪ こんなあれこれ引っ張り込むだけ引っ張り込んで放置していっても滞りなく処理してくれるんだもの♪」
「男爵業よりずっとマシさ♪」
あはは♪ ジュジュったら♪
あなたは生まれも育ちも貴族でしょうに♪
「接触して来なかったのは【金色の牙】?」
「ううん。【魔術会】だ」
あら意外。ディアン坊っちゃんの所じゃないのね。
「あのミランダ婆さんが? なんのアクションも無し?」
「うん。呼びつけてくるわけでもなくだね」
ミランダ婆さ……ミランダさんは、こういう時いの一番に動くタイプの人だ。そこまで深い付き合いがあったわけではないけれど、私は過去に何度か顔を合わせているので多少は知っている。
「年食って落ち着いたのかしら?」
「気を付けてね。アルカ様はともかく、寮は焼かれちゃうかもしれないよ」
「あの婆さんならやりかねないわね」
つまり健在なのね。あの苛烈さも。
ディアン坊っちゃんにはやたら甘かったし、もしかしたらとは思ったのだけれど。流石にそんなことはなかったか。
「アルカ様もあまり付き合いは無いんだよね?」
「あの婆さん、同性には厳しいのよ」
「なるほどね」
さてどうしましょう。こちらから出向くべきかしら。
絶対待っているわよね。行くべきなんでしょうね。
遅かったじゃないかと怒るでしょうね。もしかしたら同盟から抜けるとか言い出すかも。めんどくさいなぁ。
「そんな顔しなくても大丈夫だよ。アルカ様」
「もしかしてこちらから接触したの?」
「うん。招待状を送っておいたの。交流会のね」
「待たせてしまったわね」
「ううん。もし間に合わなくても代役を立てるつもりだったから」
「そう。ちなみに誰が私のフリをしているの?」
「もちろん私だよ。どうせ貴族だから立ち会えないし」
にゃるほど。
ジュジュ本人は変身魔法とか使えないけど、その辺はメタモルステッキがどうとでもしてくれるものね。有効活用してくれているようで何よりだ。もちろん私のことも。
「もしかしてマリオンとも?」
「うん。マズかった?」
「キスしたの?」
「してないよ。頭撫でるだけで真っ赤になっちゃうもん」
する気はあったんかい。
「まだ手を出しちゃダメよ。マリオンは私のよ」
「は~い」
軽いな~。
「セレネとは?」
「何度か」
「……まあいいでしょう」
セレネから誘ったんだろうし。寝室に。
「アルカ様。私いっぱい頑張ったよ」
「いらっしゃい」
私はジュジュを深層に連れ込んだ。
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「意外と普通ね。小春様の世界って」
「ダメだよキスイ。小春様の世界はアルカディアだよ。クオレリアはニクス様の守護世界だ。……ややこしいね」
二人の言いたいこともわかるけども。
「もうちょい頑張って。影裡さん」
「ねえ、小春様。そろそろ影裡って呼んでくれてもいいんじゃないかな?」
「私のこともキスイと呼びなさい。小春様」
様付けなのに全然敬ってる感じしないよね。キスイって。
「わかったわ。影裡。綺透」
「「よろしい♪」」
あはは♪
「二人は何がしたい? クオレリアの観光? それとも一緒に冒険者でもやってみる?」
「暫く小春様の世界を回らせてもらうね」
「あら影裡。それは勿体ないわ。小春様の世界はいつだって来れるじゃない」
世界樹ネットの直通ラインがあるもんね。新世界とも影裡たちの世界ともいつでも行き来出来るもんね。だからもうミーシャともいつでも会えるのよね。後で深層に連れ込もう。そうしよう。
それはそうと。
「二人は小春様呼びのままなのね」
「アイデンティティだから♪」
なるへそ。差別化って大切だよね。
「私は小春様についていくわ」
「ならここでお別れだね。キスイ。……達者でね♪」
影裡? なんでちょっと嬉しそうなの?
「ダメよ、影裡。あなたも付き合いなさい」
「しゃあないな~♪」
今度はあからさまに嬉しそうだ。
結局仲良いわね♪ この二人も♪




