58-07.再会
「コハルちゃん!! 待ってたわ!!」
うぉお。エルちゃんが真っ先に飛び付いてきてくれた。
いつものノンビリとした話し方も捨て去って、全身全霊で好意をぶつけてきてくれた。
『ちょっと。人様の母親相手になにしてんのよ』
メグル。約束でしょ。奥に引っ込んでいなさい。
『いいじゃない。直接は会わないんだから』
エルちゃんなら気付いちゃうでしょ。
『意地悪言わないでよ。お願いだから』
……もう。
「ふふ♪ 大丈夫よ♪ わかっているわ♪」
エルちゃんは私の胸に耳を当てて、奥にいる誰かの声に聞き耳を立てるように目を閉じた。
「久しいな。コハル」
「こんにちは♪ 銀花お姉ちゃん♪」
『お~♪ この人も転生者なのね~♪』
コトネまでいるし。
「待ってたよ! コハル叔母さん!」
「シュリちゃん♪ もしかして完成してる?」
「うん♪ いつでも始められるよ♪」
「シュリ。ユーシャがまだ納得していないだろう」
ありゃ? 何か問題が?
銀花お姉ちゃんが険しい……という程でもないけど、渋い表情をしている。
「大丈夫大丈夫♪」
「ダメだ。相談すると約束した筈だ」
「聞かせて、シュリちゃん。何が問題なの?」
「問題って程じゃないよ。リリース直後は私がシステムを監視しようと思ってさ。それで暫くここを留守にするって話したらママがへそ曲げちゃったの」
……それでユーシャお姉ちゃんがいないのね。
「シーちゃん。遠隔制御用の端末を構築出来るかしら?」
「ダメダメ。直接見てないと」
「シュリちゃん。ユーシャお姉ちゃんが納得していないなら任せられないわ」
「む~。しゃあない。叔母さんまでそう言うなら他の方法を考えるよ」
それは何より。
「すまんな。みっともないところを見せた」
「ううん。そんなことはないわ。銀花お姉ちゃん」
一旦区切りも付いたかしら。そろそろ本題を切り出すとしよう。
「実は今日来たのって別件でね」
私は事情を説明し、世界樹の苗木を貰えないかと聞いてみた。
「それだぁ!!」
シュリちゃんが何か閃いたようだ。
「『新世界』をメイン基盤にしよう! それならうちに直通ラインが引けるよ!」
「メイン基盤にって、それは一から作り直すってこと?」
「急いでる? 先に運用を開始したいなら移設は平行でも構わないよ?」
「いいえ。そういうことではなくて」
「こっちの負担は気にしないで♪ むしろ後の負担は格段に減るよ♪ トリスメギストスに大部分を任せなくても良くなるからね♪ しかも今ならすぐ戻って来れるでしょ♪」
そうね。今のところ『新世界』の方が、このエルちゃんの守護世界よりも時間の流れが速いし。向こうで数年作業を行ったとしても、この世界で精々数日のことだろう。
「善は急げ♪ ママ呼んでくる♪」
言うなり、シュリちゃんは姿を消した。
「慌ただしくてすまんな……。いつまでも落ち着かん子だ」
「良い子よね♪ シュリちゃん♪」
「まあな」
ふふ♪
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私たちはシーちゃん船に乗ってエルちゃん世界を発った。
結局、銀花お姉ちゃんとユーシャお姉ちゃんも一緒に来ることになった。二人はシュリちゃんを手伝ってくれるのだ。
そして追加でもう一人。
「まぁま?」
「シュテルちゃんよ。アルル」
私の肩に捕まって遠慮がちに様子を伺う、空飛ぶ幼児。
「アルル~♪」
そんなアルルの名を呼びながらゆっくりと近づいてくる、もう一人の空飛ぶ幼児。
「しゅてー?」
「そ~♪ しゅて~♪」
「「えへへ~♪」」
空中で手を取り合う幼女が二人。可愛い。
「懐かしいな。シュテルのあの姿」
「流石に無理があるね。ちょっとぎこちないよ」
シュテルちゃんはアルルに合わせて幼女形態に変身してくれただけで、銀花お姉ちゃんたちと共に永き時を生きてきた人物の一人だ。というか神器だ。エルちゃんの娘の一人。マグナやユーシャお姉ちゃんたちと同じ存在だ。
「新世界! これが!!」
モニターを見て興奮しているのはシュリちゃんだ。
「シュリ。こちらへいらっしゃい」
「「メグル姉さん(お姉ちゃん)!?」」
出てきてるし……。まあしゃあないか。
「久しぶりね。銀花。ユーシャ」
「直接会うのは初めてだね! メグル叔母さん!」
銀花お姉ちゃんとユーシャお姉ちゃんの前に割って入ったシュリちゃんがメグルの手を握ってブンブンと振っている。
「ええ。会いたかったわ。シュリ。もちろん二人にも」
「もういいのか? 直接は会えぬのではなかったのか?」
「『新世界』は管理外世界なの。中央の定めた決まりもここには及ばないわ」
まだ着いてないでしょうが。空気は読むけども。
「メグル。お客様の案内は任せたわ」
「ありがとう♪ 小春♪」




