58-03.クランマスター会議
クランマスター会議が始まった。
私たちは冒険者ギルドのムスペル王都支部に集められた。
参加クランの数は僅か七つ。この場に集まったのはギルド長と七人のクランマスターだけだ。
とはいえ、ムスペル王国は世界一の国土を有する大国だ。近隣で活躍する冒険者たちは相応の実力を有している。この場に呼ばれる程のクランともなれば尚更だ。
「先ずは主旨を説明しよう」
「必要ねえよ。ギルド長。今更いるわきゃねえだろ。理解してねえ奴なんて」
見るからに短気そうな一番若いクランマスターが声を上げた。金髪を短く刈り上げた幼さの抜けきらぬ顔立ちの若者だ。あと十年もすれば黒歴史として後悔していそうなオラつき具合だ。
この場に集まった者たちの情報は事前にジュジュから聞いている。
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彼の名は『ディアン』。
クラン『金色の牙』のリーダーだ。
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「カッカッカ♪ 坊は相変わらずじゃのう♪」
「ちっ……」
魔女っぽいお婆さんが遠回しに嗜めると、ディアンはそっぽを向いて舌打ちした。
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彼女の名前は『ミランダ・マースフェル』。
クラン名は『魔術会』。
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「話を進めてくれ。ギルド長」
次に口を開いたのは、私でも名を知るベテランだ。見た目はやたら覇気のあるオジサマって感じ。背は高くもなく低くもなく、会議室でも変わらずに、いつも通りの無骨な装備を身に纏っている。
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彼の名は『グレン』。
クラン名は『大遠旅団』。
間違いなく現時点で世界一のクランだ。何せ世界中を股にかけるほぼ唯一のクランだもの。その分構成員も他を圧倒する数が揃っている。
まさか彼まで来るなんて。直接会うのは十数年ぶりだろうか。当然会ったのはアルカとしてだ。今の私はシノミヤとして参加している。言うまでもなくシノミヤと彼は初対面だ。
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「今回集まってもらったのは他でもない。諸君らも先日ムスペルを襲った新種の情報は聞いていよう」
「はっ! 結局大した被害も出なかったそうじゃねえか! 大英雄様共が雁首揃えて何をビビってやがんだ!」
「「「「「「「「……」」」」」」」」
「……んだよ。張り合いねえな」
ちょっと可愛い。
「おめえだろ。解決したってんのは」
まだ続けるんかい。メンタル強いわね。
「続けて頂戴」
「うむ」
「んだとこらぁ!? 無視こいてんじゃねえぞクソガキがぁ!!」
私? ガキ? そうね。シノミヤは十五歳くらいの設定だからね。うふふ♪ 本当は三十近いお姉様よん♪
「なに笑ってやがんだ!!」
「みっともないよ。ディアン。淑女に突っかかるものではない」
「あぁん!!」
ディアンを諌めたのは、まさしく勇者様な容姿の落ち着いた雰囲気の青年だ。ディアンよりは少しだけ年上に見える。だいたい二十代前半といったところだろうか。
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彼の名は『ユーリ・ローウェル』。
クラン名は『勇壮の風』。
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「溜まってるんならアタシが相手してやるよ♪ 坊や♪」
妖艶な雰囲気溢れる妙齢の美女がからかいの言葉を口にする。
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彼女の名は『フェイト・モルゴン』。
クラン名は『大蛇の眼』。
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「ギルド長。都度止めないで頂きたい。我々も暇ではないのだ」
無表情に先を促したのはメガネを掛けた成人男性だ。歳の頃は三十代といったところか。
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彼の名は『ニグマ(本名不明)』。
クラン名は『博者の社』。
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この場には、見事に老若男女バラけて集まったものだ。
「けっ! どいつもこいつも!」
ドサリと問題児が腰を下ろした。あまりにも張り合いがなさ過ぎて、絡むのも面倒になったようだ。
「会議を続けよう」
ギルド長は改めて話を切り出した。




