57-18.似た者同士
接待作戦は順調だ。テラスは早々に心を開いてくれた。
「あの子も大概チョロいわよね」
「アルカは孤独な子相手には強いんです」
「流石悪い魔女は伊達じゃないわね」
なんか失礼な噂話してる子たちがいるわね。わざわざ聞こえるところで話さなくてもいいでしょうに。どんなあてつけよ。まったく。揃いも揃って大人げないんだから。
「行くわよ! アルカ!」
はいはい。お姫様。
こっちは全然気にしてないわね。聞こえてないのかしら?
なんにせよ、テラスが満足するまでには、まだもう少しだけ時間が掛かりそうだ。
きっと今まで休むことなく夢に向かって邁進し続けてきたのだろう。どうりで私が惚れるわけだ。私こういう子に弱いのよね。だからって今回ばかりは無条件で受け入れるわけにもいかないのだけども。
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「ここは酒場ね♪ うちにもあるわよ♪」
アマノイワトの文明レベルも中々のものだものね。あっちゃこっちゃ混ぜ込んでたり、それぞれの趣向が特色となって現れているからバラバラなだけで。
「テラスはよく飲むの?」
「当然♪ 勝負しましょう♪」
強そう。
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「~♪ えへへ~♪ お~いひ~♪」
よっわ……。
あ~またそんなグビグビゴクゴクと……。
「あーかも~♪ のみなひゃいよ~♪」
「ほらほら。もうその辺にしておきましょう」
「や~ぁ~! まだのみゅの~!」
そっかぁ~。のみゅのか~。
「すっかりへべれけじゃない」
「そうしていると偉大な神には見えませんね」
げっ。また絡んできた。
メグルとノアちゃんも気になって仕方がないのね。
「ノアちゃん人のこと言えないじゃない」
あなたテラス以上に酒癖悪いんだから。
「今日は飲みに来たわけではありません」
なら何しに来たのよ。ここはバーよ。
「う~る~しゃ~い~」
私に抱きついて二人に抗議の視線を送るテラス。可愛い。
「すっかり懐いたわね」
「流石アルカです」
「私を褒めに来てくれたの?」
「「いいえ」」
あっそ。
「少々やり過ぎでは?」
「その子がやらかしてきた事を忘れちゃいないでしょうね」
なるほど。釘を刺しに来たと。
私がこのままテラスを寝室にでも連れ込むんじゃないかと危惧したのかしら? 失礼しちゃうわね。
「やらかしてきた、なんて言い方はあんまりよ。先代以前のアマテラス様が敷いた仕組みじゃない」
「この子が必要以上に民を溜め込んだから、より多くの糧が必要になったのよ。その選択はこの子自身の意志よ」
「それだって仕方のなかったことでしょ。神であろうと人であろうと、生まれたばかりで背負うには重すぎたのよ」
「随分と擁護するのですね。やはりアルカは取り込まれてしまいましたか」
取り込まれたってなによ。私一人で行かせておいて今更後悔してるの?
「……なによ。折角気持ちよく飲んでたのに」
あら。隣でこんな話してるから、テラスの酔が覚めてしまったみたいね。或いは元からかしら?
「テラス。我々はあなたの志を否定したいわけではありません。共に正しき方向を目指したいだけなのです」
「仲良くしましょう。これからはお互い小春ハーレムの一員としてね」
「……気に入らないわ」
ありゃ。
「私のメグルは狡猾で熱い奴よ。妥協なんて似合わないわ。そんなのらしくない。私の気に入ったメグルじゃない」
「それこそ何言ってるのよ。私が一番を目指さないわけないでしょ」
え? そうだったの?
ノアちゃんとセレネの地位を簒奪しようとしてたん?
「なんで小春が驚いてるのよ」
「いやだって。私の知るメグルはクールなメグルだし」
ボロはしょっちゅう出すけども。迂闊クールってやつね♪
「何よ。アルカもまだまだね。その程度の観察眼でメグルを手にしようだなんて片腹痛いわ」
手にしようもなにも、もう私のものなんだよなぁ~。
「テラスがメグルの所有権を主張したいって言うなら相手になるわ」
「望むところよ♪」
「やめなさい」
残念。私のメグル愛を見せつけようと思ったのに。
「アルカの本命はノアでしょ?」
「うん。よくわかったね」
「小春♪ ちょっといいかしら?」
笑顔が怖いわ。メグル。
「仕方ないでしょ。ノアちゃんとセレネは別格なんだもの」
「アルカ。流石にハッキリ言い過ぎです。今から口説こうとしている相手の前で言う事ではありません」
「もう一人いるのね。浮気者」
「あら。この程度で嫉妬していたら保たないわよ。なにせ小春の伴侶は六十人以上いるんだもの」
「……バカじゃないの?」
すとれーと~。




