56-24.顛末 ー 【56章のまとめ】
私たちは革命軍のアジトを目指して世界の外へ旅立った。
キッカケはテミスさんの持ち込んだ話だった。とある事情で崩壊した世界が増えたことにより、「界賊」と呼ばれる勢力が勢いを増し始めた。
世界の外、外界を縄張りとする彼らは、滅びかけの世界や滅びた世界から力を奪い、自らの糧とする略奪者だ。
それはなにも神に限らない。複層世界は広い。発展しすぎた文明を頼りに、時間の止まった外界を旅する者たちくらい現れもしよう。かつてのシーちゃんがそうであったように。
私たちは界賊被害を食い止めるために、討伐軍を結成することにした。それは本来、守護すべき世界を失い職にあぶれた神々を雇用するための口実でもあった。
元々は対偽神用に軍を育てるのが目的だった。しかしそれでは中央世界の神々が納得せず、新たに提示されたのが界賊退治だったのだ。
中央世界は勝手なことばかり言う。
私たちは軍だけでなく賞金稼ぎたちやアマテラス様率いる「タカアマハラ」勢力とも手を組んで事に当たろうと、冒険者制度の導入を提案した。
その結果、中央世界は軍の創設を一方的に取りやめた。
あぶれた神々は討伐軍ではなく、冒険者として働かせればいいと考えたためだ。
なんとも安直な考えだ。私に軍を持たせたくないだとか、軍にする前提で神々を派遣してしまえば中央の責任が全く無いとは言い切れなくなるだとか、どうせそんなところだ。
そんなわけで、私たちは制度導入の前提条件を解決することにした。
先ず、新制度導入にはアマテラス様の協力が不可欠だ。界賊王とすら揶揄される彼女は、界賊たちと同じように外界を旅しながら行き場に迷った者たちを拾い上げてきた。
随分長いことそうしてきたようで、界賊も賞金稼ぎも彼女には一目置いている。彼女が敷く決まりごとなのであれば、荒くれ者たちも無視はできまい。私たちはそう踏んだ。
しかしアマテラス様は現在、スサノオ率いる革命軍との間で抗争中だ。つまり手が離せない。
私たちはこの壮大過ぎる姉弟喧嘩を止めるため、もう一人の姉弟である、ツクヨミ様に協力してもらうことにした。
ツクヨミ様は現在、革命軍に囚われているそうだ。スサノオを止めようとしたところを捕まってしまったらしい。
私たちの思惑は一致している。スサノオだって、ツクヨミ様が自由にしていては困るから捕らえているのだろう。ツクヨミ様を救い出せばきっと力になってくれる筈だ。
中央が手を引いたのもあって、私たちは様子見をやめて早速革命軍の内部に潜り込んでみることにした。
今は彼らのアジトを目指している最中だ。何事も無く、無事に目的を果たせるといいのだけど。
下調べはそれなりにしたつもりだけれど、なにぶんこの手の作戦は初めてだ。私と違って慣れているノアちゃんに頼りつつ、いざとなったら私世界の戦力もフル投入してでも道を切り開くとしよう。
一月後にはクランマスター会議も控えている。おそらく時間の流れる速度は私たちの世界の方がゆっくりだろうから心配は要らないだろうけど、それでもあまり遅くならない内に帰るとしよう。だから捕まったりするのは論外だ。本当にピンチな時は手段を選ばず逃げ出そう。私世界にはアマテラス様から授かったウズメもいるのだ。どうしようもなければ助けを求めるのもやむなしだ。
ジュジュは大丈夫かしら。結局ノアちゃんを連れ出してきてしまったけれど。元々ノアちゃんはジュジュの手伝いもしてくれていたのよね。そういう意味でも早く帰らないとね。マリオンに任せるっていうファンクラブ作りも気になるし。アレクシアお姉ちゃんも別で作るって話だったのよね。
帰ったら色々確認していかないとだ。その辺はきっとレーネがキッチリ纏めておいてくれるだろう。
おチョウさんがアレクシアお姉ちゃんから請け負ったお菓子作りの件も結果も気になるわね♪ 「ILis」を使っての試作品作りには私も参加したけれど、実際におチョウさんが作る完成品はきっと想像以上の美味しさでしょうし♪
『早く帰るわよ』
ふふ♪ イロハも気になるわよね♪
「アルカ。もう直ぐだそうですよ。油断しないでください」
「ええ。ノアちゃんもお願いね」
「お任せを。完璧にエスコートしてみせましょう」
「ノア。油断してはダメよ。スサノオは間違いなく歴戦の強者よ。加えてアメノサグメも側に置いているそうじゃない。どんなに対策を重ねても、見つかる時は見つかるわ。そういうものと心得なさい」
「大丈夫よ~♪ イコルが~♪ 守ってあげるから~♪」
私、ノアちゃん、メグル、イコル。この四人が潜入班だ。
必ずや目的を果たして帰るとしよう。もちろん全員でね。
もうすぐ革命軍のアジトが見える筈だ。どこか近くで抗争も続いている筈。いつでも動けるよう、準備は万全に済ませておきましょう。




