56-19.些細な違和感
「今度こそやるわよ。プチ会議」
今回はレーネ、ウズメ、メグルの三人だけに声を掛けた。イコルは当然のように現れた。しかもセラフ付き。
「なによ。私に隠さないといけないようなことを話すつもりなの?」
「そうじゃないわ。もちろん歓迎するってば」
ただ人数を絞ろうとしただけよ。またお祭り騒ぎになると話進まないからね。
「そう。ならいいわ。それで? 今度は何を企んでるの?」
「企んでいるだなんて人聞きが悪いわ」
「私に内緒で動こうとしたじゃない」
「誤解だってば」
「いいえ。私が未だに知らないことこそ、その証拠よ」
鋭い。流石セラフ。
「本当に隠しているという程のことではないのよ」
ただちょっと言いづらかったというか、外に広められない話だっただけで。
「今ウズメを見たわね。吐きなさい。何をしようとしているの?」
「……ハッキング」
「あのねぇ」
「いや、ほら……」
「それでも必要なことなのでしょう?」
「うん」
「なら堂々としていなさいな」
「うん」
ありがとう。セラフ。
「イコルも~♪ 必要でしょ~♪」
「本当に良いの? 手伝ってくれるなら助かるけど」
「任せて~♪」
それは素直にありがたいわね。感謝しておこう。
「けど今すぐじゃないわ。もしかしたらって話。別にアマテラス様と敵対したいわけじゃないもの。ただ少し話し合ってみて必要だったらって」
「それも話してしまいなさいな。アルカは何を気にしているの?」
「アマテラス様とスサノオって本当に仲悪いのかなって。それはウズメも知らなかったから」
「なるほど。知らなかったから怪しいと思ったと」
そうよ。さっきのセラフと同じよ。セラフが私の思考を読み取れたり読み取れなかったりするように、アマテラス様も意図的に開示したり制限を掛けたりしているのよね。
それ自体は何もおかしなことではないのだけど、伏せている内容がちょっと気になってね。けどこんなの私の考えすぎかもだから、皆で相談してから決めることにしたのよ。
「わざわざ敵対の危険を冒してまで調べる程のこととも思えないわね」
だよね。正直私もそう思わなくもない。
本当にちょっとだけだから。気になってるのはさ。
「もう少し詳しく聞かせてみなさい。まだ何か気になっているところがあるのでしょう?」
「違和感は二つよ。一つはテミスさんが革命軍について言及しなかったこと。もう一つは中央世界に伝わる神話の内容についてよ」
「界賊は討伐しろと言うのに、革命軍については一言も無かったわけね」
「そうなの。なんだか妙だと思わない?」
「同意するわ。神話の方は?」
「アマテラス様って、最初は狼藉を働いたスサノオを庇うのよ。もしかしたら弟には甘いのかなって」
「最初はってことは、結局決別するのでしょう?」
「まあね」
「なんとも言い難いわね。その二つを加味しても」
「だよね~。私もそんな感じ。だから皆の意見を聞いてみようかなって」
「賢明よ。突っ走らなかったことを褒めてあげるわ♪」
わ~い♪ ナデナデだ~♪
「メグルは今の話を聞いてどう思う?」
「概ね同意見よ。焦って調べるような事とも思えないわね」
「あら。本当に良いのかしら? 同盟を組むつもりなのでしょう? そもそも敵対していなかったらどうするつもり?」
セラフって意地悪言う時生き生きするよね。
アマテラス様とスサノオが癒着してるなら、『賞金稼ぎ冒険者化計画』も見直さないとだもんね。
アマテラス様率いる「タカアマハラ」の協力が無いと、新制度を広めるのは難しいだろうし。
何せ賞金稼ぎも界賊も、どこにも属さないアウトロー連中だからね。制度だけ作ったって気にもとめないだろう。同業者の重鎮が舵を取るっていうならともかくね。
「そもそもの制度や協力体制に問題があるのかもしれないわね」
メグル? そっからひっくり返しちゃう?
「界賊たちを討伐するために界賊王に協力を頼むだなんて」
「今更それ言う?」
「けれどそうしなければ、最悪アマテラスは界賊たちの側についてしまうわよ」
そうなんよ。だから先に味方につけておきたいんよ。
「そうね、セラフ。その通りよ。より最悪なのは、界賊王と革命軍が手を組むことよ。その可能性を潰すためにも、アマテラスとの共闘は必要不可欠よ」
「ならやっぱりハッキングだなんてやめておきなさいな」
「なによ。結局セラフはどっちを主張したいのよ」
「いっそ全部敵に回して、中央から戦力を引き出すなんてどうかしら♪」
「そう。あなたはただ引っ掻き回したいだけなのね」
「私から言わせれば、アルカもメグルもお行儀が良すぎるもの。もっと自由に考えてみなさいな♪」
「参考にはなりそうね。聞かせてみなさい。セラフ」
「いいわよ。ベッドでゆっくり聞かせてあげるわ♪」
「望むところよ」
「おいこら」




