50-24.共依存
「ノアちゃん。ちょっと元気無い?」
ようやく温泉地獄から解放されて部屋で休んでいると、しょんぼりノアちゃんが、ふらふらと近づいてきた。
「……アルカぁ~」
ノアちゃんはそのままダイブしてきた。
お~よちよち。いったい何があったのかしら?
「……(ふるふる)」
私の胸に顔を押し付けて無言で頭を振るノアちゃん。
私は敢えて抱きしめるのではなく、背中を優しく撫でてみた。
「……(ぱたぱた)」
尻尾が叩きつけるように上下している。あまりご機嫌はよろしくないようだ。
ノアちゃんはたまに額を擦り付けるように首を横に振り、同じようにたまに足をバタバタさせ、尻尾を振りながら暫く無言で抱きつき続けていた。
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「……よし」
何がだろう。
「復活しました」
「それは良かったです」
またお仕事に行っちゃうのかしら?
「今日はこのままお休みしましょ」
「……そうですね」
よかった。
「いえ。ダメです。休憩は終わりです」
「ぎゅっ♪」
ノアちゃんを抱き寄せて抱き締めた。
「……すみません。アルカだって落ち込んでいたのに」
「ううん。違うの。お陰ですっごく気分が良くなったの」
「……お役に立てたのなら幸いです」
「ふふ♪ やっぱりノアちゃんが一番ね♪」
「ダメですよ。そういう事言ったら。セレネに叱られます」
「そうだった♪ ノアちゃんは零番だったわね♪」
「そうです。忘れないでください」
「ごめんなさい♪」
「……ノエルが少し出かけているくらいで不安になってしまいました」
なるほど。それでか。今日は一日おスズちゃんと一緒に出かけてるもんね。今もまだ帰ってきてないし。いつもはノアちゃんと私もノエルを介して繋がっているのに、そのノエルが抜けちゃったから、ノアちゃんは調子を崩してしまったのね。
「ふふ♪ ノアちゃん可愛い♪」
「まさかここまでとは思いませんでした。私も随分と依存していたようです」
「良い事じゃない♪」
「危険ですよ、これは」
「ぎゅ~~~~♪」
「……もう私は大人なんです」
「全部ひっくるめたら二十年くらいは生きているものね」
「それ言い出すとアルカは三十……」
「こら」
むぎゅ~~~~~!
「……苦しいです」
「ふふ♪ ノアちゃん大好き♪」
放し難い。離れ難い。ずっと抱き締めていたい。ノアちゃんとの触れ合いはやっぱり特別だ。心の中にどんどんどんどん熱がこみ上げてくる。驚く程やる気が湧いてくる。
「ノアちゃん。やっぱり一緒に居よ。もうお仕事辞めてさ。ずっと私の隣に居てよ。ううん。居なさい。これは正式辞令です。もう二度と外に出ちゃダメよ。わかった?」
「……無茶言わないでください」
「今からノアちゃんは『こはちゃんズ』の一員よ」
ちちんぷいぷい♪
ノアちゃんの服装が『こはちゃんズ』制服に変化した。
「……これでは目立ちすぎます」
「だからお仕事辞めてって言ってるじゃない」
「アルカ。やっぱり本調子ではないのですね。すみません。今日はもうどこにも行きませんから。ゆっくり休んでください。良い子ですから」
「……ごめんなさい。少しばかり愛が溢れてしまっただけなの。大丈夫。私は元気いっぱいよ。ノアちゃんが来てくれたから。甘えてくれたから。弱った姿を見せてくれたから」
「……素直に喜べませんよ。そんなの」
「ふふ♪ ごめんね♪ 意地悪言うつもりはなかったの♪」
「とにかく休んでください。明日また話しましょう」
「は~い♪」
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翌朝。ノアちゃんは私の様子を見て安心すると、そのまま仕事に出かけてしまった。ちょー残念。
「……あなたどうしたの?」
「何が?」
「……」
メグル?
「……今日の予定は?」
「カイルちゃんと話をするわ」
「銀細工の完成を待つんじゃなかったの?」
「それはそれかな。計画通りに進めるわ。だからメグルも余計なことは言わないでね」
「……わかったわ」




