50-25.仕切り直し
「はろはろ~♪ カイルちゃ~ん♪ アストレア~♪」
二人は今日も朝から修行をしていた。
結局この二人には……とくにカイルちゃんには何も話していないものね。まだムスペルに戻って剣聖になるつもりでいたのだろう。アストレアもあの件は言い出せなかったのね。
「師匠」
「あ、その呼び方はもういいわ」
「……え?」
「ごめんね、カイルちゃん。剣聖にはなれないの。あなたにはうちの子になってもらうわ」
「……はい。師匠」
あら? 知ってはいたのかしら? それでもそう呼び続けるってことは、まだまだ教えは受けたいと?
「それでねカイルちゃん。ごめんだけど、もうムスペルには返してあげられないの。こっちでアストレアと仲良くね」
「はい。師匠」
本当にちゃんとわかっているのかしら? カイルちゃんは向こう百年くらいはこっちの世界で暮らしてもらうのよ?
『八つ当たりはやめなさい』
別にそんなんじゃないし。イロハこそ意地悪言わないで。
『この子は裏切ったりしないわ。その理由が無いじゃない』
わかってるけどさ。ニクスの件だってあるわけだし。
「私を言い訳に使うのはやめてよね」
げ、ニクス。わざわざ来るなんて。
「ちょっとね。悪いけどアストレアを借りてくね」
「なんで今なのよ」
「すぐ返すから」
答えになってないし。
ニクスは本当にアストレアを連れて行ってしまった。またテミスさんでも来たのかしら?
「話を続けましょう。色々調べさせてもらったわ。カイルちゃんのこと」
「……申し訳ございません」
「ううん。カイルちゃんは何も悪くないわ。むしろ私が謝らないと。私のせいで巻き込んでしまったの。その上、解放してあげることも出来なくなっちゃった。ごめんなさい」
「そんな……頭を上げてください……」
「決して不自由はさせないと約束するわ」
「……ありがとうございます。アルカ様」
「マスターでもいいわよ♪」
「はい。マスター」
ふふ♪ ごめんね♪ シーちゃん♪
『特別に許して差し上げます。マスター』
ありがと♪
「それでね、カイルちゃん」
ここからが本題だ。
「カイルちゃんには私のお手伝いをしてほしいの♪」
「なんなりと。マスター」
「ありがとう♪ なら一緒に来て頂戴♪」
私はカイルちゃんを連れて遊園地に向かった。
手伝いは嘘だ。私はただ、一つ一つ問題を片付けていくことにしただけだ。先ずはカイルちゃんとアストレア。二人を正式に家族として迎え入れよう。そのためには仲良くならないとね。今日は一日遊び倒すとしよう。
暫くするとアストレアも戻ってきた。
しれっと混ざったニクスとアムルも加えて、一日中遊び倒した。遊園地だけでなく、ホテルで美味しいご飯を食べて、お酒を飲んで、部屋でのんびりと過ごした。
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「マスターは私に何をさせたいのですか?」
「え……? ……ああ。一緒に遊んでほしかったの」
「……本当に? それだけですか?」
「ええ。それだけよ。ふふ♪ 任務ご苦労♪ お陰で私は満足したわ♪」
「……そうですか」
「ガッカリさせちゃった?」
「……いえ。……拍子抜けしたんです」
「もしかして緊張してた?」
「……はい。何を仰られるのかと」
「あらごめんなさい♪」
可哀想なことしちゃったわね♪
けどカイルちゃんも、とっても無邪気に遊んでいたから大丈夫だと思うの♪ やっぱり遊園地の魔力には勝てないわよね♪ カイルちゃんくらいの年頃だと特に♪
「お詫びにフリーパスをあげるわ♪ この世界で暮らすことにはなるけど、寂しい想いはさせないから♪ 毎日楽しく過ごしてね♪ 遊園地も好きなだけ利用して構わないわ♪」
「……ありがとうございます。マスター」
ありゃ? あんまり嬉しそうじゃない? なんで?
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イロハはどう思う?
『アルカが放り出すようなことを言うからじゃない』
別にそんなつもりは。けど私は忙しいし。
『あの子の境遇を考えてみなさいよ』
……ああ。そっか。
『こはちゃんズに入れてあげたらどうかしら?』
流石にそれはマズイでしょ。
『せめてアルカが見れない間は、エリスやアリスに任せなさい』
アストレアだっているじゃない。別にいいけど。
『もっと対等な相手が必要なのよ』
まあそっか。……うん? 私対等?
『精神年齢は似たようなもの……ごほん。アルカは包容力があるもの』
全部言っちゃってるじゃん。台無しだよ
『あの子には頼りになる保護者が必要よ。親身になってあげなさい』
そうだね。うん。うっかりしてたわ。
路線変更よ♪ 今からお風呂に入りましょう♪
『……はぁ』




