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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第97話 決戦の日

「夫に会うのに他の男をたくさん連れてくるなんてあんまりだな。」

アルベルトが肩をすくめた。

外に聖騎士たちが控えていたことは知っていただろうに、わざとらしい言い方にレイアは少しイラっとした。


「自分の実力はわきまえているつもりよ。私一人ではあなたに勝てないもの。」

レイアはそう言うと、両手に神聖力を集めた。

「実力を正当に評価してもらえて光栄だ。それに免じてハンデをつけるのは認めてやろう。しかし、この人数だ。私も本気で行かせてもらうぞ。」


アルベルトの頭上に黒い球が出現し、周囲から黒いもやが吸収されていった。

球はどんどん大きくなりレイアが両手で抱えられるかどうかのサイズになった。

レイアも聖騎士たちも固唾を飲んでその球体を見つめていたが、突然それが弾けた。

はじけ飛んだ破片は騎士や神官の一人一人に降り注がれた。


「うわああ。やめてくれ!近寄るな!」

突然、一人の騎士が腰を抜かしたように座り込み、虚空を見ながら青ざめ何かわめき出した。

他にも多数同じような行動をする者が現れた。

「どんな悪夢を見ているんだろうな?」

それを見てアルベルトは可笑しそうに笑った。


レイアはキッと彼を睨みつけた。

「何をしたの?」

「特に何もしていない。心の中にある闇を増幅してやっただけだ。」

神聖力の低い者や心にあった闇が大きかった者が罠にかかったのだろう。


大きな影響を受けなかった者たちが剣や神聖力を構えた。

アルベルトの身体から放たれた数十本の茨が彼らに襲い掛かった。


剣で茨を断ち切る者、苦戦する者、中には茨に拘束されてもがき苦しんでいる者もいた。

騎士や神官が一斉攻撃をしかけ、アルベルトが彼らに気を取られている隙にレイアが彼の核を狙う作戦だ。

レイアは彼らの戦闘を横目に自身の神聖力を高めていった。



エル、クララ。

力を貸して!


首にかかるロザリオと指輪に願いを込めた。

そして限界まで高めた神聖力をアルベルトへと放った。

狙うは左胸の核だ。


「うおおお」

不意を狙われさすがのアルベルトもそれを避けることは出来なかった。

神聖力と核に内包されていた魔力がぶつかり合い反発で大きな爆発が生じた。

それと同時に騎士たちに放たれていた茨も一瞬にして立ち消えた。


爆発により黒いもやが周囲へと広がりアルベルトの姿が見えなくなった。

皆は固唾を飲んでそれを見ていたが、もやが治まってくると中からユラッと人の影が見えた。


「この・・・、やってくれたな。」

アルベルトの外見に変化はないが、明らかに纏うオーラが小さくなっていた。

彼は騎士たちには見向きもせず、ただ真っ直ぐにレイアだけを見ていた。


ゾクッ


レイアの背すじに悪寒が走った。

アルベルトの本気を感じたのだ。

前回も含め、今までは彼から本気の殺意を感じたことはなかった。

力の差が歴然としていたし、彼にとっては暇つぶしの遊びのようなものだったのだろう。


殺される・・・


レイアは本能的にそう感じた。

目を逸らせず彼を見ていると、左胸の核から周囲に飛び散ったもやが徐々に右太ももの核に集まっていくのが見えた。


まさか・・・

破壊した核の魔力が吸収されて1つの核に凝縮されているの?


一度小さくなっていたアルベルトのオーラが再び元に戻っていった。


そんな・・・。


レイアは愕然とそれを見ていることしかできなかった。



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