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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第87話 鍛錬の日々

それからのレイアは人が変わったように神聖力を使った鍛錬に打ち込むようになった。

もちろん真面目なレイアは今までも、修行にはきっちり取り組んでいた。

しかし、今はそれまでとは気迫が全く違っていた。


「空恐ろしい神聖力ですね。」

鬼気迫る表情で訓練を行うレイアを見て、セドリックがつぶやいた。

「そうじゃな。」

ヨハンも頷き同意した。


「レイア。少し休憩をはさみなさい。力をふるってばかりでは身体を痛めてしまうぞ。」

きりの良いところでヨハンが声をかけた。

それに対しレイアは不安そうな表情を浮かべた。

「でも先生。訓練をしていないと不安なんです。」

「焦る必要はない。300年前の救国の乙女と比べても勝るとも劣らない神聖力だ。今回はわしやセドリックも後ろから援護する。大丈夫じゃ。」


その言葉にレイアは顔をしかめた。

「互角じゃ駄目なんです。完全に祓魔しないと。でないと、また彼が蘇ってしまう。」

大きなダメージを与えれば、しばらくアルベルトは魔界から出ることが出来ないかもしれない。

でも、それではレイアは心から幸せになれないのだ。


「神聖力の鍛錬ももちろん必要だが、同時に精神を鍛えることもするべきだぞ。悪魔と対峙した時、最後にものを言うのは精神力だ。」

セドリックの言葉にレイアは俯いた。

自分でも頭の中ではわかっているのだが、なかなか気持ちがついていかないのだ。


「君の中で弟のことが引っかかっていることはわかっている。彼の願いに答えるには今一番何が必要か、一度ゆっくり自分で整理してみなさい。」

セドリックはポンっとレイアの肩をたたき訓練場を出て行った。


               ※

夜になり、レイアは大神殿の中に用意された自分の部屋で文献に目を通していた。


ノアが古城の書庫に通い詰めていた話を聞いて、知識も大事だと実感したのだ。

髪を媒介に人の夢に入ったり、血の交換を行う儀式をしたり。

彼が書庫で得た知識には目を見張るものがあった。


トントン


ノックの音と共にエルフリードの声がした。

「レイア。僕だ。今、大丈夫?」

「大丈夫よ。どうぞ。」


エルフリードが扉を開け部屋に入ってきた。

手に数冊本を持っていた。


「こんな時間にどうしたの?」

「大神殿の書庫でなにか有益な情報がないか調べてたんだけど、これを見て。」

エルフリードは一冊の本を取り出し、しおりを挟んだページをひろげた。

古い本で、外の装丁にはほつれがあり経年劣化によるしみや汚れがあちこちに見られた。


「すごく古い本ね。」

「800年前の神官によって書かれた書物なんだ。破壊の悪魔のことが書かれていた。」

「800年前・・・」


そんな昔から・・・


これから対峙する相手がいかに異次元の存在であるかを改めて見せつけられた気分だ。

レイアは憂鬱な気分で本を手に取った。


『未来のベルナー王国の民のために、今回私が戦った暴虐と破壊の悪魔について気付いたことを書き記しておこうと思う。』

そんな書き出しから始まっていた。


『まず分かっていてほしいことは、彼を普通の神官が一人で倒すことは不可能であるということだ。

彼には命の核が複数あるからだ。』



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