第63話 目覚め
次に目が覚めた時、ベッドの横でエルフリードが椅子に座りながら眠っているのが見えた。
「エル」
小さな声で名前を呼ぶとエルフリードがハッと目を覚ました。
「レイア!本当に目覚めたんだね。ああ、良かった・・・。」
エルフリードはそう言うとガバッとレイアを抱きしめた。
ギュウっと力を込めた後、少し身体を離し尋ねてきた。
「身体は大丈夫?」
「ええ、特に問題はないと思うわ。」
エルフリードは目に涙を浮かべ、再びレイアを抱きしめた。
しばらく2人は何も話さず、お互いの存在を感じていた。
「エル・・・。ここは王宮だと聞いたのだけど、あの後どうなったの?」
「レイアが放った神聖力で悪魔はあの場からいなくなった。消滅したのか、どこかに逃げたのかはわからないけどね。レイアは死にかけていて、先生や大神官が神聖力を注いでどうにか命は持ち直して・・・。でも、二度と目を覚まさないかもしれないと言われて・・・。」
エルフリードが涙ぐんだ。
「心配かけてごめんなさい。」
エルフリードは何も言わずにレイアを再び抱きしめた。
2人の気持ちが落ち着くと、エルフリードはポツリポツリと王宮の現状を話し出した。
「フェリクスが王位継承権を放棄すると言っていてね。」
その言葉にレイアは驚いた。
意識が戻る可能性が低かったのであればレイアがフェリクスの妃になれるはずもなく、その話は立ち消えになっているのかと思っていたのだ。
「どうして?ご本人も周囲の人間もフェリクス様が王位に着くことを望んでいたんじゃないの?」
「君に執着して悪魔に付け込まれるような人間は王位に相応しくないと本人は言ってるみたいだ。」
「じゃあ、マルクス様が王位を継ぐことになったの?」
「マルクスも兄の方が相応しいと言って固辞しているんだ。」
「悪魔のことはそんなに知れ渡っているの?」
「悪魔が王宮に現れ、君がそれを撃退したことは国中に知れ渡っているよ。けど、フェリクスが悪魔に取りつかれそうになっていたことは、情報規制がかかっていて一部の上級神官や重鎮しか知らない。今は2人とも普通に公務をこなしているけど、お互い意見を譲らず膠着状態になっているんだ。」
「エルはどう思ってるの?」
「僕はフェリクスがそのまま王位に着いたらいいと思ってる。巻き込まれた身としては今回の件に思うところがないわけじゃけど、適性でいうとマルクスより向いてるんじゃないかな。」
「そうね・・・。」
レイアが目覚めたことはまだフェリクスは知らないだろうが、それを知ったら彼はどう動くのだろう?
前と同じように執着を示すのだろうか。
レイアが少し不安を感じた時、扉をノックする音が響いた。
「誰?」
エルフリードが尋ねた。




