第55話 デュラン公爵
食事が進みカールの家族の話へと話題が変わっていった。
「そうして結婚した妻とは性格が合わなくてね。跡継ぎを生んだ後、結局彼女は家を出て行ったんだ。私が上手く立ち回れなかったから、息子のジルベールから母親を奪うようなかたちになってしまった。」
「物心ついた時からその状態だったわけですし、ジル兄さんはそんなこと気にしてないですよ。伯父上はいろいろ気にしすぎなんですよ。大雑把なジル兄さんを見習わないと・・・。」
カールがそれを聞いて笑顔になった。
「はは。確かにな。あれはいったい誰に似たんだろうな。」
「ジル兄さんは伯父上とは違って武闘系というか、今はノースブロンの軍部所属で北方地域の副将軍をしているんだ。最年少での着任で話題になったんだよ。」
エルフリードが自分のことのように得意そうに言った。
彼は母方の親戚とも仲が良いようだ。
私の家とは全然違うのね。
レイアは少し羨ましい気分で二人の会話を聞いていた。
カールの話の後、今度はエルフリードがベルナーでレイアの周囲で起こった出来事について詳しく話して聞かせた。
「手紙ではあっさりした内容だったから、まさかそんなことが起こっていたとは・・・。とんだ災難だったな。レイア。」
父親に悪魔に売られたというくだりを聞いた時、カールはとても痛ましそうな表情を浮かべた。
家族への愛情が深い人だけに信じられない気持ちだったのだろう。
「実の家族に会ったのはその2回だけなので、あまり実感がないというか・・・。」
「エルフリードは私にとって息子のようなものだ。ベルナーは隣国だし国同士の付き合いもあるから表立って公爵家で預かることはできないが、この国にいる間は支援は惜しまない。安心して過ごしなさい。」
「ありがとうございます。」
カールは溺愛していた妹によく似たエルフリードを本当に可愛がっているようだった。
レイアも心から礼を述べた。
「それにしても、あの大人しかったエルフリードが王太子と女性を取り合って国外へ駆け落ちするなんてやるじゃないか。王太子の年齢を考えれば2,3年以内には誰かと結婚されるだろうし、そうなれば彼も落ち着くだろう。まあ、それまでの辛抱だ。2人で頑張りなさい。」
そう言って、カールは公爵邸へと戻って行ったのだった。




