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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第54話 デュラン公爵

指定された店は王都の繁華街からは少し外れた静かな通りにあった。

店に入ると中は思いのほか高級感のある内装で、名を告げると2階の個室へと案内された。


案内された個室にはすでにデュラン公爵が着席していた。

白髪交じりの金髪に青い目をした50代半ばくらいのスマートな男性で、雰囲気がエルフリードによく似ていた。


「レイア・フォン・クルムです。初めまして。」

緊張した面持ちで挨拶をするレイアを公爵はにこやかに迎えてくれた。

「よろしく。カール・デュランだ。エル、お前は面食いだったんだな。綺麗なお嬢さんだ。」


カールは気さくで話しやすい人だった。

公爵ということで気難しい人物を想像していたので、親し気に声をかけてもらえレイアはホッとしていた。

料理が運ばれ会食を進めながら、カールが家族のことやこの国のことなどを話してくれた。

レイアは相槌を打ちながらその話を聞いていた。


「私とエルの母親のエレノアとは年齢が15歳離れていてね。エレノアが5歳の時に父が亡くなったから、私が彼女の父親代わりみたいなものだったんだ。エレノアも私を慕ってくれて、兄妹仲はすごく良かった。しかし、彼女が15歳の時に私の結婚が決まり、それをきっかけに家を出て行ったんだ。」

「出て行ったというか・・・ベルナーに留学しに行ったんですよね。」

エルフリードが困惑したように口をはさんだ。

「エレノアは身体が弱かったから、温暖なベルナー王国で静養したいから留学することにしたと言っていたが、それは建前だ。新婚家庭に小姑がいてはいけないと気を遣ってくれたんだよ。」

カールは沈痛な表情でそう告げた。


「伯父上。母上はベルナーで父上と出会えて幸せだったとずっと言ってました。きっかけはそうかもしれませんが、母は愛する人を見つけることができて結果的に良かったんですよ。」

「ありがとう、エル。エレノアは自分がいたせいで私の結婚が遅くなったと思っていたようだったから、せっかく決まった結婚の邪魔になってはいけないと考えたんだよ。身体の弱かったあの子を外国に追いやって、その上異国で早世させてしまって・・・。」

カールはハンカチで目頭を押さえた。

自分のせいで溺愛していた妹を死なせてしまったと感じているようだ。

「母は病気で亡くなったんです。ベルナーで施すことのできる最高の治療をしても止められなかったんです。伯父上のせいではない。最期は愛する家族に囲まれて、母上は幸せな人生だったと思います。」

「ああ、そうだな。」

カールはようやく笑みを浮かべた。



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