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悪魔の生贄が救国の乙女になるまで  作者: らな


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第53話 旅路

移動中は商家の若夫婦の新婚旅行という設定で旅をしていた。

出発前は悲愴な決意で旅支度をしたのだが、ノースブロンまでの旅は驚くほど順調で楽しいものだった。

宿泊先の町で散策をしたり、買い物をしたり、祭りが行われていれば参加したり、レイアにとっては新しい体験の連続だった。

心配していた国境越えもエルフリードが用意してくれた通行書で問題なく通ることが出来た。


「レーゲンスブルクから王都までの旅は地獄のようだったのよ。ずっとトーマスに監視されて、馬車に閉じ込められて自由に喋ったり町に出かけたりも出来なくて。」

レイアの言葉にエルフリードが苦笑した。

「クルム侯爵はよほど内密にことを運びたかったんだね。」

最初からレイアをいなかった者として存在を隠したまま事を終わらせるつもりだったのだろう。

「・・・。」

黙り込んだレイアの肩をエルフリードが引き寄せた。


「侯爵夫人は僻地の修道院へ送られ、侯爵が処刑されたと聞いた時も何も思わなかったの。私って薄情な娘なのかなって、そんな自分のことが嫌になってしまって・・・。」

「薄情なんかじゃないよ。初めに侯爵家の方から君を切り捨てたんだから、当たり前の感情だ。レイアの家族は僕とクララだろう。あとはヨハン先生かな。」

「エル・・・」

エルフリードはいつもレイアの欲しいと思っている言葉をくれる。

王都に来てからボロボロになったレイアの心は、エルフリードと過ごすことで少しずつ回復していったのだった。


ノースブロンではエルフリードの母方の伯父が公爵をしており、その叔父がノースブロンの王都に所有している小さな建物を一つ貸してもらえることになっていた。

「伯父上は年の離れた妹だった母を溺愛していたから僕と兄さんも可愛がってもらってたんだ。迷惑はかけたくないから伯父上の屋敷には行かないけど、落ち着いたら王都のお店とかで会いたいと思っている。伯父上をレイアに会わせたいし、会って直接お礼も言いたいしね。」


貸してもらった建物は、新婚の使用人夫婦が使うための仕様だったので2人で住むには広さもぴったりで、周辺には日用品を購入するところもあり生活がしやすい環境だった。


そしてノースブロンで生活を始めて2週間が経ち新しい環境にも慣れてきた頃、エルフリードの伯父であるデュラン公爵と会うことになった。


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