第51話 恩人たちとの別れ
翌日、レイアはヨハンをつかまえ彼の部屋でエルフリードとの話を伝えた。
「そうか・・・。2人がこの国を離れるのは残念だが、仕方あるまいな。苦労もあるだろうがエルと2人なら大丈夫だろう。レイアたちがノースブロンに行ったら、わしもレーゲンスブルクに帰るよ。そこから2人の幸せを祈っている。」
レーゲンスブルクで隠居していたヨハンが王都に来たのはレイアを悪魔から救い出すためだった。その後も、レイアの指導係として王都に残っていてくれていた。
「先生。いっぱいお世話になったのに、ご迷惑おかけしてごめんなさい。」
泣きそうな顔で詫びるレイアにヨハンは優しく笑いかけた。
「一人寂しく田舎で余生を過ごすつもりだったのが、レイアのお陰で毎日が楽しく張りのあるものになったんだ。わしにとってレイアは孫みたいなものだ。迷惑だなんて全く思ってない。落ち着いてから連絡をくれればそれで十分だ。」
「せんせい・・・」
レイアはヨハンに抱きついた。
孫と言われたが、レイアにとってヨハンは父のようなものだった。
会いに来もせず顔も知らなかった実の父より、ヨハンの中に父という存在を求めていた気がする。
「ありがとうございます。絶対に連絡します。」
ヨハンと別れた後、その日も王宮から大臣の一人がやって来た。
レイアはうつむいて静かに話を聞いていた。
従順なレイアの態度に、大臣は機嫌良さそうに帰って行った。
そして、翌々日の夜。
移動用の動きやすい服に着替え荷物を持ち窓際で待機していたレイアは、一人の聖騎士が聖女棟に近づいてくるのを 見つけた。
エルフリードではない人の可能性もあるので、窓を開け星を眺めるふりをした。
騎士が軽く手を振ってきたので、レイアは荷物カバンを肩にかけ窓から飛び降りた。
2人とも会話はない。
エルフリードの誘導に従って神殿の裏手にまわり、エルフリードの用意してくれた頭から隠れる魔導士用のローブを被った。
裏手にいた門番はローブを見て、あっさりと2人を通してくれた。
「出れた・・・」
順調にことが運んでレイアはほっと息をついた。
神殿から少し離れた公園にたどり着くと、ようやくエルフリードが口を開いた。
「ローブを脱いでくれるかい。あと君の髪の色は目立つから、帽子を被って髪を中に入れておいて。」
エルフリードも聖騎士の制服を脱ぎ、それをたたむとローブと一緒にカバンの中に片づけた。
制服の下には町人風の簡素な服を着ており、2人が並ぶと町人カップルにしか見えなかった。
片付けが終わると公園から町の方へ向かい、途中で流しの辻馬車をひろい王都の郊外で降ろしてもらった。
「ここにうちの別邸があるんだ。」
エルフリードは迷いなくスタスタと建物の中に入って行った。
一刻も早く王都を出た方がいいんじゃないのかな?
レイアは疑問をいだきつつエルフリードを追いかけた。
「クララ!」
建物の中にはクララがいた。




