第100話 決戦後
長い時間その状況が続き、ヨハンもエルフリードも額にあぶら汗が浮き顔色が青ざめてきた。
他の負傷者の手当てをしていたセドリックが見かねて声をかけてきた。
「先生。一旦、大神殿に戻りましょう。このままではあなた達も倒れてしまう。神殿で他の者に治療を交代してもらいましょう。」
その時レイアの目が開いた。
「・・・ん・・・エル・・・?」
かすれた声でエルフリードの名前を呼んだ。
「レイア!」
エルフリードがホッとした表情を浮かべた。
「あ・・くまは・・・?」
それにはヨハンが答えた。
「レイアが放った聖剣で奴は消滅したぞ。よくやった。」
それを聞きレイアはフワッと微笑んだ。
「よかった・・・」
小さな声でそう言うと再び目を閉じ意識を失った。
2人で神聖力を注いでいたのに、顔色は青白く生気がない。
「レイア!」
エルフリードが悲痛な声をあげた。
引き続きヨハンとエルフリードの二人で神聖力を注いでいると、しばらくして再びセドリックが声をかけてきた。
「他の負傷者は神殿へほぼ護送出来たので、レイアも神殿で治療の続きを行いましょう。今は私が先生たちと変わりますから。」
セドリックの言葉を受け、ヨハンが頷いた。
このまま疲労のたまった2人で治療をするよりセドリックと交代した方が治療効率もいいだろう。
「すまん。わしも限界じゃ。頼んだぞ。」
ヨハンの手が聖剣から外され、エルフリードも一度手を放したがすぐに自分の手を直接聖剣の上に置いた。
「エル。やめなさい。ここは一旦セドリックに任せた方がいい。」
ヨハンが声をかけたが、エルフリードはレイアの側を離れようとしなかった。
コツコツ
突然、4人しかいないはずの聖堂に高い靴音が響いた。
「!」
ヨハンたちが息を飲んだ。
ただならぬ雰囲気を感じ、エルフリードも顔を上げた。
「ノア・・・?」
そこには金の髪をした天使のような少年が立っていた。
レイアの弟ということで、以前から学院でもその存在は認識していた。
しかし、前回魔界で会った時の彼は大人の姿になっていたはずだ。
「その姿は?もどれたのか?」
エルフリードは驚きの表情を浮かべながら尋ねた。
そしてノアの顔を凝視しハッとした。
レイアと同じ綺麗な青色だった彼の瞳は赤色に変化していた。
悪魔のように・・・
エルフリードの言葉にノアは複雑な表情を浮かべた。
「ええ。アルベルトの魔力を吸収したお陰でね。・・・彼が祓魔され、引きはがされた魔力が拠り所を求めて彼の血を持つ僕の所に集まってきたんですよ。」
「何と、そんなことが・・・。」
ヨハンが驚愕の声をあげた。




