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第二十三話 奴隷解放作戦 其の参

 「ウォーターボール!」

 「だから、それ弱いんだって。」


 ブーケルマはウォーターボールを腕で弾き、あっという間に周囲は穴だらけになった。


 「ホントに何で木を貫くレベルの威力が無傷なんだよ!」

 「学習しないね。(オーガ)の血のせいって言ったでしょ?」

 「ロックスピア!」

 「此方は危ないね。」


 中級魔術は当たれば無傷では済まないのか頑なに避ける。

 これさえ当てられれば何とかなると思うのだが…


 「拘束系の技、無いんだよな…」


 そもそも、拘束したとしてもあまり時間は稼げないと思う。

 まず、この状況すらかなりギリギリだ。

 相手がでかすぎるあまり、少し広い部屋とは言え、向こうは満足には動けてない。

 これが仮に外に出ることになれば、恐らく直ぐに捕まってミンチだ。

 彼奴の発言から恐らく時間をかければあのオーガ化は強制解除される。

 つまり、俺が行うべきなのは時間稼ぎ。

 どうせこの家は俺のじゃない。

 思いっきり壊させてもらう!


 「土よ、壁となりて隔てよ!ロックウォール!」


 俺は廊下側の壁に向けて詠唱ロックウォールを展開。

 ブーケルマとの物理的な壁とそれを使ってついでに壁もぶち抜いた。


 ドゴン!ドゴン!ドゴン!3発ほど殴られ、ロックウォールは砕け散った。


 「アレで3発だけかよ!」

 「今のは硬かったね。」


 ロックウォールが消えると、壁には穴が空いているため、俺はそこから逃げた。


 「何処に行くんだい?」


 俺は後ろに向かってウォーターボールを打ちまくりながら階段を駆け上がって2階へ来た。


 「混合魔術・『風岩』!」


 見た目はただのロックバレット。

 しかし、割れたら中からウィンドボム。

 それによって割れたロックバレットの破片が飛び散る二段構え!


 「ぅ゙ッ…」


 ブーケルマは意表を突かれて視界を奪われた。

 その直後にロックスピアを展開し、両足にぶっ刺す事に成功した。


 「ウォーターボールじゃそろそろ飽きてきたでしょ?此方の中級魔術はいかが?」

 「この餓鬼ぃ!」

 「おっと?理性が無くなって来たかい?」


 ブーケルマはさっきまでより家を破壊しながら俺を追い詰めてきた。

 投げてくるものは全てウォーターボールで対処し、時々さっきの混合魔術をぶつけていたが、向こうも学んできて弾く時に目を守るようになってしまい、効かなくなってしまった。

 しかし、時間稼ぎをしまくったお陰で、向こうは目がガンギマリ、口から常時よだれを出すほど理性をなくせた。


 「グルルルルル…」

 「ハハッ!もう全く人間じゃねぇな!」


 だが、此方もチンタラやっている訳にはいかない。気怠さ的に、残り魔力量が大体3割程。

 早めに決着をつけないと、詰む。


 その時、破壊され過ぎで分からないが、多分廊下だったもの当たりの地下から出てくる子供とメノが見えた。





 【メノ視点】


 「ここがさっきの入り口だよね。なら、下に行けば、あの子たちが居るはず。」


 草木が少ない所では私の魔術の威力は下がる。

 石の部屋で何処までできるか分からないけど、言われた通りにあの子達を助けよう。


 その時、何処かから声が聞こえた。


 「何処に行こうというのです?」

 「!」


 其処にはあの時の男が立っていた。


 「あの時の嘘つき!」

 「こりゃどうも、侵入者さん。」

 「…私のじゃまするの?」

 「それが私の仕事なのでね。」

 「じゃあ、消す。」

 「…やって見なさい。」


 男は短剣を抜いた。


 …狭いところでの扱いが簡単な短剣。

 一本…の可能性は低いか。

 毒が塗られている可能性と、不意打ちの二本目を考慮して、まずはあの短剣を引っ剥がそう。


 メノは軽くジャンプを始めた。


 次の瞬間、お互いが大きく踏み出し、相手の間合いに入った。


 首を左に傾けて短剣をかわし、左で短剣を持った手の手首を掴んだ。

 だが、右足を絡ませられ、体重を左に掛けられた。

 直ぐに浮いた右足で膝蹴りをかまし、受け身をとった直後に回転して離れた。


 「驚いた。思ったより動けるんですね。」

 「舐めすぎ。」


 そのまま第二ラウンドが始まる。

 手首を掴み、肘を折ろうとしたが、短剣を持つ手を移され、短剣を振られた。

 間一髪で足で振りかざす腕を止める。

 そして、お互いが蹴りあって再び距離を取った。

 だが、左の腿を思いっきり蹴られたので結構痛い。



 やっぱり、体術じゃ勝てない。魔術も組み込まないと。


 お互い再び距離を詰めようとする。

 しかし、男の方が一瞬足が取られた。


 「?!」


 見ると、其処には地面から生えた蔓が足を縛っていた。


 そして、その直後、裏拳が男の顎に綺麗に入り、男はよろけた。

 しかし、追撃はしっかりと防がれた。


 「…貴方も魔術師だったんですか。

 てっきり前衛だと思ったのですが。随分バランスが悪いパーティーですね。

 しかも、()()()()()()()()()魔術師。」

 「流石に魔術が来るのは想定外でしょ?」

 「ええ。でも、これで益々ご主人は貴方たちを欲しがるでしょう。」


 この後、下から生やした蔓に気を取られすぎていた男は天上から伸びる蔓に気が付かず、そのまま締められ、縛られた。


 下に行くと、15人程の子供達がいた。


 「さっきのお姉ちゃん!」

 「待ってて!今助けるから!」


 「蔓よ。大地の力で、我が願いを叶え給え!」


 檻の棒の部分を蔓2本で引っ張り、時間は結構かかったが、何とか子供一人通れる位に広げる事に成功した。


 「さぁ皆!ここから出るよ!静かに!急ぐよ!」

  

 そう言って、子供達を引き連れてメノは上に上がった。


 そして、上がってきたその瞬間をジルが目撃した。

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