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第二十二話 奴隷解放作戦 其の二

 「ん……」

 「やっと起きた?もう夜明け一時間前だよ?」

 「?!」


 意識を取り戻した時、俺達は2階の部屋で椅子に縛られていた。


 「気分はどうだい?」

 「最悪だよ。」

 「随分荒々しい。親のせいかな?

 僕が教育してあげるよ。」

 「違法と知りながら誘拐事件を多発させてるアンタは教育どころか遺伝子の問題だな。」

 「随分強気に出るね。怖くないのかい?」

 「別に?」

 「そうか。それで、小人族。お前は誰の差し金だ?

 いつまでも子供の振りは止めな。言動が既に子供っぽくない。」


 何でどいつもこいつも俺を小人族にすんだよ。

 結構長いこと彷徨ってるが、一度たりとも見たことないぞそんな種族の奴。

 がちで何処にいんだよ。ハイエルフ並みに聞かない名前だぞ?

 とりあえず乗っかるか。


 「…バレたか。依頼者はお前が攫った子供の一人だよ。」

 「…じゃあ、彼奴か。彼奴だけ唯一生死の確認が取れてないんだ。そうか。生きていたのか。

 なる程。じゃあ、あの化け物共も彼の仕業か?」

 「…覚えているのか?」

 「勿論。全員大切な子供だからね。」


 此奴、悪人じゃないな。悪を悪と思ってない。

 多分狂人とかのタイプの奴だ。


 「普通に疑問なんだが、どうやって攫ったんだ?」

 「簡単なことだよ。孤児院の子供なら孤児院を潰して持ってくれば良いし、家庭ならもっと簡単に連れ出せる。」

 「お前は子供を集めて何してるんだ?」

 「時々食べるんだよ。」

 「…それはどういう意味で?」

 「?…ステーキとか?」


 此奴、ガチの食人か!


 「体質的に食べないといけなくてね。」

 「どんな体質だよ。」

 「薄いけど、家の家系は(オーガ)の遺伝子を持っているんだ。たから時々食べないと理性が吹っ飛ぶ。」


 オーガ…この世界でもそうかは知らないが、確か角の生えた鬼みたいな魔物だよな。それの遺伝子ってどういう事だよ。


 「それ、子供である必要あんのか?

 家畜の子供で良いじゃねぇか。」

 「家畜の子供は高いんだ。それにまずい。

 人間の子供ならいくらでもいる。それにうまい。…この子も美味そうだね。」


 ブーケルマはメノを指差して言った。


 「此奴?此奴は大人だぞ?

 …それにしても、家畜がまずい?うまいだろ。」

 「味覚も違うんだよ。

 因みに、その子は子供だよ。この子、多分ハイエルフだろう?文献で見たことがある。ハイエルフは極めて純粋なエルフなんだ。

 エルフは血が濃ければ濃いほど身体と精神の一部の成熟が早い。早ければ5歳で其奴の一生の身体的成長の殆どを終えるんだ。

 だから昔の人達はエルフは長寿と考えたみたいだね。

 でも、この子は成人の証が無いから多分子供。」


 …初めて聞いたぞ?

 …何で此奴はそんな事を知ってんだ?

 …何処まで信じていい話だ?


 「でも、君からは嫌な物を感じる。

 君を見ると食欲が下がる。

 やっぱり君は子供じゃあないね。」

 「そりゃ良かった。」


 不味そうなオーラが出ているのは不本意だが、とりあえず食われなさそうで良かった。

 そろそろ拘束を解いて反撃に移るか。血竜の青年同様、何かしらの能力を持ってる可能性もある。注意はしておこう。


 「…何か企んだな?」

 「何も?」

 「君、拘束解こうとしてるね。」


 え?何でバレた?


 「これは数年前に覚醒した能力でね。

 簡単に言うと超目が良くなったんだよ。

 君、今腕をさっきまでとは違って意図的に大きく動かしたよね。

 何するつもりかは…誰でも分かるでしょ。」


 視力の向上。これがオーガの遺伝子なのか!

 たが、だから何だ。向こうはただの一般人。

 制圧くらい、できる!


 「バレたって関係ねえよ!」


 俺は椅子と背中を縛る縄をウィンドカッターで切断。その直後、手首の縄も何とか空間を作りそこにウィンドカッターを滑り込ませて切断。

 両手が開放的になった状態で飛びかかった。


 しかし、俺は一瞬で壁に叩きつけられた。


 「グッ!…」

 「ハァ…この力使うと人肉いっぱい食べなきゃいけなくなるから使いたくないのに…」


 ブーケルマの右足はズボンを破り、毛むくじゃらなかなり大きい足へと変化していた。


 「いってぇな」

 「あんまり暴れたく無かったんだけど、君、やっぱ気に入らないや。

 秘密を知られてる以上、どっちにしろ生かしておけないし、ここで死んでよ。」

 「…やなこった!ウォーターボール!」


 俺は顔面めがけてウォーターボールを撃った。

 しかし、変化した腕がそれを地面に払ったはらった。

 その音でメノもめが覚めた。


 「…ん……え?え!何?!」


 遅いな!このタイミングで起きるのかよ。

 だが、この場に動けない奴が居るのは間違いなく邪魔になる。


 「メノ!落ちるぞ!足上げろ!」

 「え?!え?!」


 俺は椅子の真下に向けて二つウィンドボムを発射し、地面に大きめの穴を空け、そこに椅子ごと落とし、俺もその穴に飛び込んだ。


 「いった!」


 メノの座っていた椅子は落下の衝撃で全て足が折れたが、足は上げさせたので折れてはいない。

 俺も落ちる時にウォーターウォールを使ったので濡れているだけだ。


 「ねえ!今どういう状況?!」

 「説明は後!先ずはその縄を切る!」


 椅子と背中の縄を切ると同時にブーケルマは全身オーガ化した状態で落っこちてきた。


 「うわぁ!何あれ!?」

 「逃さないよ?」

 「メノ!子供は任せた!」

 「え?!」


 俺はメノの残りの縄を切って直ぐにブーケルマとの戦闘に戻った。

 メノはとりあえず部屋を出てさっきの地下への入り口を探し始めた。


 「あの子、飲み込みが早いね。」

 「助かってる。」

 「向こうはセバスが何とかするだろうから、まずは君から処分だね。」

 「骨も此方には来れなさそうだし、もう殺すわ。」


 俺は完璧に臨戦態勢に入った。

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