表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
60/62

第37話 ほれほれ,興味があるぢゃろ?

ヴィッセンスブルク アルトスタット区 ホテル ザクリスタイ 608号室 軍務省仮設本部 ファンデルメーデン将軍 執務室

―第6紀 370年2月71日(土曜日)4刻



「やあ!パスカル殿,お久しぶりぢゃな.」と,イサラミナはまるで友達かのように,将軍になったパスカルに声をかけた.

「イサラミナ特務少佐,お久しぶりです.あの,僕は将軍になったのですが,ご存じではないのですか?」

「あー,もちろん知っておるのぢゃ.なんぢゃ,パスカル殿とは ともだ…,ふむー,そういえば,エリー殿とはお友達ぢゃったが,パスカル殿とはそれほど絡んでなかったんぢゃ.二人だけで会うのは今日が初めてぢゃったんぢゃな.エリー殿からよく話を聞いていたから,なんとなく身近に思っておったんぢゃ.」と,ドワーフである彼女はパスカルよりは背が低く,モノクルをつけていない方のつぶらな青い瞳で見上げていた.


「そうですね.もう,友達で良いですよ.」

「イヒヒ,話がはやくて助かるのぢゃ.うちは敬語が苦手なのぢゃ.」

「それは知ってます.ハンティントン殿がぼやいていましたよ.」

「そうぢゃったのか,まあ許してほしいのぢゃ.今日,将軍閣下に会いに来たのは我々の商工会“踊る針と歌う鎚”の新製品を見学してほしいと思ったからなのぢゃ.今からローゼンフェルゼンへ行く時間があるぢゃろうか? 面白いものを見せれるのぢゃぞ.ほれほれ,興味があるぢゃろ!?」

「友達になったら,さっそく押し売りですか?」

「いや,今日は見学だけぢゃ.お金はルーク国王陛下に払ってもらうつもりぢゃ.」

「新兵器…なのですね?」

「そうぢゃ.画期的な新兵器ぢゃ.この負け越している状況を打開できる可能性を秘めた新兵器ぢゃぞ.どうぢゃ,見たくなったぢゃろ??」

「わかりました.行きましょう,ローゼンフェルゼンへ.」



「さて,商品#1.先ほど通ってきた“小型転移門改良型 トランスポータベル”ぢゃ.ズーデンヴァルトで実践投入した小型転移門に改良に改良を重ねたものぢゃ.最長15キロメルテのワイヤーを装備することができ,一人で運べるようにしたんぢゃ.そして,ワイヤー接続石柱を使えば,距離を延長することができる.実際に,ローゼンフェルゼンからヴィッセンスブルクまで約2500キロメルテをワイヤーでつないでみたんぢゃ.しかも,6刻でつないだんぢゃ.」

「6刻ですか!ええ,びっくりしましたよ.」

「そうぢゃろ.これで魔族軍より有利に戦場を往来できるようになるはずぢゃ.」


「次は本命ぢゃ.商品#2,箒母艦 シュターレンモンド号.そして,商品#3,箒母艦 グラヴァテーヌ号ぢゃ.」

と,イサラミナは金属の壁をぺちぺちとたたいていた.

「箒母艦?」

壁かと思い見上げるとそれは巨大な飛空艇の側面であった.

「こ,これは!」

「ふふ~ん,すごいぢゃろう.この前のエーデルシュタイン撤退作戦で飛空艇に直接,箒で着陸しているのを見て思いついたんぢゃ.

飛空艇を中心にして箒を活用すれば,陸軍のような足の遅い軍隊と違い,兵士を高速で移動運用でき,しかも,高度差を利用したら,一方的に敵を撃破できるという戦略兵器ぢゃ.

箒母艦自体の対魔法防御として,すべての外壁を金属で作成して,しかも,全面鏡面加工して魔法を跳ね返しやすくしておるのぢゃ.」


「基本はオリハルコン気球魔導推進飛空艇なんぢゃ.箒母艦 シュターレンモンド号は最大200名のマギアスが居住でき,箒が発着陸しやすいカタパルト3本を装備,”尖四角錐の光槍(グングニール)“を3門,魔法祭壇(アルター)を24つ装備しており,攻撃性能も有しておる.

箒母艦 グラヴァテーヌ号は少し小型で,最大100名のマギアス,カタパルト2本を装備,”尖四角錐の光槍(グングニール)“を1門,魔法祭壇(アルター)を8つ装備しておる.」


「帆を全面的に廃止して,すべて魔導推進エンジンで動くようにしており,箒母艦 シュターレンモンド号は標準最高巡行船速30メルテ/周秒,理論最大船速60メルテ/周秒,グラヴァテーヌ号は標準最高巡行船速40メルテ/周秒,理論最大船速80メルテ/周秒で動くのぢゃ.理論値なんで,実際には80に到達するには相当のマナが必要なんで,マギアスがたくさんバタバタ倒れて,まあムリぢゃと思う.魔導推進エンジンはアツゥルヴェルクスタットの重量運搬箒アルバトロスの技術を応用しておる.つまり,箒が進む原理と同じなのぢゃ.」


「もちろん,飛空艇は先ほど紹介した商品#1,小型転移門改良型の中継器としても利用できるのぢゃぞ.15キロメルテ移動して,ワイヤー接続石柱に置き換えれば,どんどん安全に転移門を設置できる.何といっても,宙に浮いているから,魔獣の襲撃を受けないのぢゃからな.」


「確かに,これは戦局をひっくり返せる可能性を秘めていますよ.ほんとにすごいです.ちなみに,#2と#3はどう違うのですか?」

「#2 シュターレンモンド号には,作戦指令室があり,また最大500人の歩兵を運搬できるように作っておるのぢゃ.」


「そして,#3 グラヴァテーヌ号は魔導工作部隊用の簡易工房と,移動神殿と治療室を設置しておる.そして,少しだけ小さくて軽く,速くて小回りが利くのぢゃ.」

「シュターレンモンド号を旗艦にするのですね.」

「そうぢゃ.そして,現在もう1隻を造船中ぢゃ.」


「まだまだあるのぢゃ.」

「ほう.」

「商品#4,ポンポン爆弾.商品#5,ドッシン爆弾.商品#6,ボワーン爆弾,ぢゃ.」

「イサラミナさん,もうちょっと命名はなんとかならかかったのでしょうか?」

「まあ,正式名称は後で考えるのぢゃ. まず,ポンポン爆弾ぢゃが,箒からマギアスが投げる想定の爆弾ぢゃ.落下の運動量を利用して,ポンポン跳ねながら,近くにいる魔族を自動追尾して,接触すると爆発するんぢゃ.爆発の原理はマナ単純熱変換なんで【魔力誘導魔弾(マナブラスト)】と同じ原理ぢゃ.基本対個人用ぢゃ.規格5号魔晶石を使う.」

「跳ねる時に向きを変えて追尾するのですか?…名前のわりに結構えぐいですよ.」


「ふむ,次のがドッシン爆弾.これは箒にぶら下げておいて,目標の上で切り離して落とす.地面にぶつかった部分の建物や壁などを【土造形物平坦化(アプフラッシェン)】魔法によって破壊するものぢゃ.半径11メルテを平らにできる.これも規格5号魔晶石を使う.」

「塹壕へも対抗可能ですよね? 魔族軍のあの戦法には苦労しましたよ.」

「もちろん,塹壕を埋めて,そこにいた魔族もろとも生き埋めにできるんぢゃ.」


「そして最後のボワーン爆弾も箒にぶら下げておいて,目標の上で切り離して落とす.地面から5メルテの高さになったのを自動で認識して,【温度(ユーベル)上昇(ヒーツゥング) +600テルビム】魔法で半径25メルテを焼き払う爆弾ぢゃ.これは規格4号魔晶石を使う.」

「なるほど,1つで1大隊を焼き払えるわけですね.箒部隊を使って,一方的に魔族軍を焼き払えるのか.確かに,戦局が変わります.」


「次ぢゃ,商品#7.箒空母で正式採用するアツゥルヴェルクスタット 軍用飛行箒シュヴァーンぢゃ.最高速度 70メルテ/周秒で,小回り性能や離着陸機能を優先した魔導エンジンを採用.先ほどのドッシン爆弾かボワーン爆弾のいずれかを2つ搭載でき,煙幕機能の強化しておるんぢゃ.」

「空母運用に特化したのですね.」


「そして,商品#8.アツゥルヴェルクスタット 軍用飛行箒アドラー・フィーアぢゃ.最高速度 120メルテ/周秒で,速度と安定飛行性を優先した魔導エンジンを採用.先ほどのドッシン爆弾かボワーン爆弾のいずれかを3つ搭載できる.こちらは陸軍が採用するのが決まっておるんぢゃ.まあ,ドラウフゲンガーの安定化量産型ぢゃ.」

「なるほど.」


「最後の紹介ぢゃ.商品#9,戦車 アルミラージパンツァー・ツヴァイ,商品#10,戦闘ゴーレム ユニコーンパンツァーぢゃ.」


「アルミラージパンツァーはウィルダネスでの運用をあきらめて,街中でのみ使用できるようにしたのぢゃ.要は,街に攻め込まれた時に敵の動きに合わせて,”尖四角錐の光槍(グングニール)“を配置できるようなると考えてほしいのぢゃ.街中での運用を考慮し,尖四角錐部分を街壁より高くする必要があるので,上へ延ばす機構を追加して,倒れないように固定できるようにしただけぢゃ.」


「そんで,こっちのユニコーンパンツァーがウィルダネスで運用を考えた機体ぢゃ.4本足歩行のゴーレムの頭に”尖四角錐の光槍(グングニール)“をつけただけぢゃな.移動スピードが遅いのが欠点なんぢゃ.でも,歩く歩兵よりはわずかに早いのぢゃ.」

「ユニコーンというより,ギラッフェ(きりん)ですね.」

「ふなっ!ぢゃあ仕方ないから,ギラッフェパンツァーに改名するのぢゃ.」


パスカルはシュターレンモンド号の内部を案内してもらい,詳細な性能をイサラミナに質問を投げかけていた.あっという間に3刻が過ぎていた.



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ