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断章 無用語り⑥
若犬丸は氏満を討ち損ねた。狐女のせいでな。
公方を倒し得たなら、歴史も変わったことだろうに。
だがね、おかげで関東の安寧は保たれたのさ。
ただ、その後の歴史を考えるなら、誰のための安寧かってね。
歴史は為政者のためにあるかってね。
若犬丸にとって、狐女は敵だったのか、味方だったのか。
それは、狐女本人だってわかんなかったろう。
それこそ「何の因果で」ってとこだろう。
でもな、狐女にとって、秀郷流への恨みを捨てるきっかけはあったのさ。
それを話さなくちゃならないか。
安心しな。けっこういい話だよ。
小山の氏祖となる太田政光と、その妻寒川尼の話になるんだが……




