~藤咲マミの視点 10
私が、その場を去り、空を見上げる頃には、辺りは暗くなり、日は完全に沈みかけていた。
私は……結局、彼を助けることは出来ず。
後悔を胸が占めていた。
(全部、無駄だったのかな)
こんなことまで、考えてここに来てたわけじゃなかったけど、助けられるつもりで来たわけでも、本当はなかったけど。
それでも、なにも思わないわけじゃない。
後悔してる、私は。
彼を止めることが出来なかった、私のせいで起きた……そう殺し合いを、私はそれを止めることも出来なかった、彼を助けることも出来なかった。
私はいったい、なにするために来たんだろう。
なんの役にも立ってない。
それでも、私にはまだ出来ることはある。
私の耳には聞こえる。
遠くから、近くから、無数に蠢く声たちが。
(あれを止めないと、また誰かが襲われてしまう)
きっと、彼は犠牲者だ。この蠢く声たちの。
そして、もう一つ。
――八賀谷君。
彼は私を助けに来てしまった。もしかしたら、彼も狙われてしまうかもしれない。
もし、狙われてなかったとしても、彼が私をまた助けようとするなら、絶対に彼は邪魔者として殺される。
私は狙われている、間違いなく。もちろん、私は引く気はない。
なら、私のするべきことは、私を助けないように八賀谷君を止めること。
八賀谷君が狙われているなら、それを私に引き付けること。
宇都木君は、八賀谷君が連れて来たみたいなものだから、八賀谷君をなんとかすれば、 二人とも安全になる。と思う。
(もしかしたら、私がそう思いたいだけなのかもしれないけど)
でも、そんなことを考えても意味はない。
じゃないと私に出来ることなんて失くなってしまう。
まず、彼は私の危険を知った、なんらかの方法で。
それなら私はその方法を知って、それを使えなくするとかして、やめさせればいい。
でも、それだけじゃ何の解決にもならない。
私はあれをどうすれば止められるのだろう、正直、なんの手段も浮かばない。
――けど。
私は助けてみせる、とそう断言したし。
まだ、生きてる、から。
きっと、大丈夫だ。私は必ず、やり遂げてみせる。
私は次の戦いに向けて、笑みを浮かべた。




