エピローグ
さて、彼らを覗く複数の目、とある一組目の所有者。そのうちの傍観者たる者であるが、突如ここで語り部の一人として語らせてもらおう。
さらに、理不尽にも語る前に先に言おう、客観的に語る自信はなくまたその必要性も感じていない、と。
彼ら前に起きているのは、貴方が交錯し、すれ違い、通り過ぎ、目視し、それでいて気付こうとしなかった。もしくは気付きつつも見ないことを選択したはずのよくあること。
この辻褄の合わない世界で、人為的に生み出された中で自然発生した、当たり前のそういうことごと。
不幸なことにそんな当たり前に、ただ巻き込まれただけの人物達は、今この公園を舞台としてようやく共に登場した。
物語の部外者であったはずの、八賀谷コウ。
ただの被害者、餌で終るはずだった、藤咲マナミ。
自身の言葉を持たず、それ故になにもするはずのなかった、宇都木稔。またの名をウツロギ。
ただの名も無き通り魔で終るはずだった、ミマタ。
全てがそうなるはずだった、の予定に過ぎず、その予定は全て狂った。
その上、誰にとっての予定か、それすらさして重要でなくなった。
ありあわせの語り部として、語らせてもらうが、これでも当事者たる者達は誰一人、直接会うことはまだこの時にはない。
もはや、これは部外者達が紡ぐ物語、当事者達の役割は奪われる。
このことを語り部として多少は愉快に思い、個人としてはとても愉悦だ。
その舞台を遠くから見つめる八つの目、四組の目にしての、四人の者。
一人はその異様な光景を当たり前のようにスケッチし。
また、一人はナイフを片手に背を向け、立ち去り。戻り。
もう一人はその瞳に夕日を写し、耳には紅いピアスを光らせる。
この全てが語り部の目に映っていた。
「さて、次の辻褄合わせに翻弄させられるのは一体誰なのかな?」
誰かが、誰かに言うわけでもなく、呟いた。
「次は君の番だよ」
また、誰かが、誰かに答えるでもなく、呟いた。
「あなたがどこの誰のものになるのか、それだけが不安ね」
さらに、誰かが、誰にも告げるでもなく、呟いた。
誰もが総じてしばしの間、口を閉じる。
それらの呟きはただの呟きで終らないことを、語り部だけが知り、知った語り部はその目と口をいったん閉じた。




