第85話 外伝① 大和、スカウトする
「若っ、なりません!そんなに遊び歩いては‼それもキャバクラなど…。四代目に知られたら」
「いいんだよ。じいちゃん、あ、三代目だって16・7の頃は遊びまくってたらしいから」
とはいえ、俺は今日が女遊びデビュー。
「父さんは小学生くらいの時から、母さんLOVEで遊んでないから知らないのも無理ないけど、俺はじいちゃん直々に教えてもらったもんね」
父さんが俺に付けてるボディガードは止めるけど、17才の俺は止まらない!
「おっ、この店がイイ感じだな。ここにしよう。お前たちは外で待っててくれよ?」
店の中でまで過保護に子供扱いされたくないからな。
「いらっしゃいませ、お客様。初めてですね」
「何か問題でも?外観がよかったから寄らせてもらったんだが?」
俺はそう言いながら受付カウンターにチップで数万の金を置いた。前に大海さんがそうしているのを録画画像で見たことがある。大海さん男前だった。女性だけど…。
「お客様、只今ご案内しますね!おい、カオリ!」
「はい、ただいま!」
あの声…どっかで聞いたことあるような…。
「「!!」」
「カオリがお気に召されたならば、お部屋へご案内しますね」
俺はそのままその女とキャバクラの奥にある部屋に通された。
「ここには盗聴器や盗撮器の類はないよな?」
「多分」
「心配だな」
「カオリ。このままお持ち帰りだ」
俺は結局何もせずにこの女を屋敷に連れ帰った。
「松下香!お前、なんてとこでバイトしてるんだ?」
「そういう貴方はどこの客になろうとしてたのよ!」
「あらあら、大和が初めて女の子を連れ帰ったわ。私は大和の母の茜でここの『若姐』をしてるの。よろしくね。大志さんにも報告しなきゃ!」
「あ~、父さんに報告しなくても~~」
母さんを呼びとめる俺の手は虚しく宙空にあった。
「行っちゃったね…」
「ああ。それで俺からの質問だ。何であんなとこでバイトを?」
「金払いがいいからよ。私は見習いで正式にまだ客を相手にしたことないんだけどね。うち、片親でしょ?しかも父が呑んだくれて、私に暴力を振るったりするのよね。だから、一人暮らしするためにも一刻も早くお金が必要だったのよ。さて、私の質問にも答えてもらわよ?何でキャバクラなんて?」
「あ~、社会勉強だな。こんな稼業だしな。うちの傘下にもキャバクラはあるんだよ」
女遊び目的とはこいつに言えねぇ。
「お金目的だったよな?で、一人暮らしがしたいと?香は料理ができるか?」
「人並みには……」
「じゃあさ、ここで料理を提供するってバイトをするってのはどうだ?さっきのうちの母さんだけど、料理が壊滅的に苦手なんだよね。本業医者なのに。住むところもうちなら部屋が余ってるから住めばいい」
「え~?同棲とか言われたりしそう…」
「住み込みのバイトをやらされているって言えばいいんじゃないか?」
「そっかぁ」
「料理なんだけど、一回に作る量が50人前くらいかな?組員の分もあるからな。大量に早く作るのは、ばあちゃんに教えてもらうと良い。今は、ばあちゃんが一人でやってるんだよ」
「なんか大変そうね。朝と晩だけしか手伝えないけど、頑張るわ!キャバクラよりはこっちの方が健全なような気がしてきた」
香にバイト料も支払うが、香の父にもたんまりと金を渡しておいた。下手に騒がないように。騒げば命はないと言っておいた。
「へぇ~、香ちゃんて言うのかい?大和もなかなか隅に置けない子に育ったもんだねぇ」
うわぁ、まさに『姐さん』!着物が色っぽいって言うの?艶っぽいって言うの?どこが『ばあちゃん』なの?すごく若々しいじゃない。私のイメージする『ばあちゃん』と違うわよ!
「人並みには料理ができますので、これからよろしくお願いします!」
「元気がよくていいじゃないか!よろしくね、香ちゃん」
あれ?なんだかさっきのTHE『姐さん』と違う感じ。
「芋にしても大量にあるから、下処理が大変だよ!」
「あ、私、下処理が得意なんです。逆に味付とか苦手で……」
「分担できるね。下処理は頼むね」
一度に大量に作るけど、作業が分業制だから、捗ってイイ感じ。美味しいものもできて、組員さん達にも好評でよかった。




