第36話 その後の証拠たち
「お前……男だったら大事な息子が潰れてるぞ?」
大志、そこまで気にしてるの?
「血液検査の結果、やっぱり薬物反応があるわねぇ」
「で、常連さんに薬物を売ってたのか?……自白剤」
「はい!売ってました。最初はお酒に混ぜて少量。次からはドンドン量を増やしていったわ。もう私に依存して仕方がないってくらいに。店の売り上げもガンガン上がったわよ、そりゃあNo1.を毎回指名するんだもの。私もハイブランドの服とか靴・アクセサリーなんかで稼がせてもらったわよ。そうね、ちょっとは薬を体に入れてるかもしれないけど、私は依存してる感じはしないわ」
「そういうヒコさんをこの組の地下牢に入れさせてもらう。同じく『自分では依存してない』って主張してた人の状態もわかるよ」
地下牢には菅夫妻と同時に捕らえた男衆。管夫妻は同じ房、男衆もまとめて同じ房に入れている。管ユウタの方の依存度が物凄い。地下牢の鉄格子を前後に揺さぶっている。無駄なのに。男衆も同様。管エミさんはそんな旦那様を見て怖いものを見ているように離れている。それはそうだ。あの力で自分の首でも絞められたらたまったものじゃない。
ヒコさんはそんな姿を見て、「私はどうなるの?」と蘭さんに訊ねた。
「依存度が低いから、鉄格子を揺さぶるような感じにはならないと思うよ。これからも質問することがあるかもしれないけど、素直に答えてね」
そう蘭さんは言った。「あのヤク、短期間で見ると依存度は低いけど、長期間で見たら依存度が酷いわ」というのを新橋から大雄さんは聞いたと言ってた。
「さて、証拠が朔斗が手に入れた表・裏の帳簿、姐さんが作ったグラフ(俺達でもわかりやすいから)、新橋が作った報告書それと、No1.ホステス・ヒコの証言の録音と本人あとは地下牢の人達だろうな」
「証言の録音は作ったものだとか言い逃れができますが、声紋分析でヒコさんと録音した声の照合もした方がいいでしょう」
「言い逃れたら、地下牢の人達をどうにかしてもらおうかしら?」
「エミとヒコさんなら依存度が低いから、大暴れみたいなことはないと思うわよ?」
「蘭が麻酔薬を片手に構えてればいいんじゃないか?」
野生の害獣並みだなぁ。害獣は麻酔銃だけど。蘭さんは注射?
「声紋分析って蘭さん出来るの?」
「専門家に依頼しなきゃなんないんじゃないかしら?」
極道の依頼を受けてくれる専門家いるだろうか?金次第か?
ところで、大海の潜入捜査でいくら使ったの?
「えーと、6千万4300円だとよ。6千万が風俗店で4300円がタクシー代だ」
ガメツクてごめんなさい。25億をポーンと払えるから6千万くらいたいしたことないか。
「節制を心掛けるように育てたつもりなんだけどなぁ」
「上手く使ってたからOKじゃないか?」
「まあ結果オーライですけど」




