第117話 外伝㉜ 狙われた白虎商事
「そんなことを大志に言って。もう、立ち上がりが布団よりも楽だからでしょう?」
「それもあるが、本当に色々と楽しめるからだぞ?ベッドのスプリングが軋む音もなんだかエロティックでいいなぁ」
言われながら、私は大雄さんに押し倒された。
「いやぁ、現役の時にベッドだったらと思うと、一体何台のベッドのスプリングを壊してただろうな?考えると恐ろしいよ」
本当にそう思っているのか疑問だけども、恐ろしい。
「あ、そういえば!香ちゃんと遊佐ちゃんも帳簿を読む練習をしてるみたいです。確かに大輝みたいにPCを使える人間がいなくなった時には帳簿が読める人間がいた方がいいですよね」
「白虎商事の方は帳簿に不正は見られないらしい。あっちは表の仕事だから、表の会計監査がきちっとやってるみたいだし、外部の監査でも見られるからな」
大海と大輝に限って抜かりはないだろうけど、サツがそっちから攻めて来ることも考え得る。
「あぁ、ちょっと待って。考え事が……」
「待てねーよ!」
気づいたら全裸で大雄さんの横に寝ている自分がいた。
大海と大輝には注意を促しておこう。外部からの監査ってのもサツの息がかかってないとは言えないから。
「母さんは考えすぎだよ~」
大海はそう言うけど、サツを甘く見ると痛い目を見る。
「特に大輝のPCには業務以外の情報も入ってるから、外部からの監査には気を付けてね!」
予想していたような外部からの会計監査の人間に‘オカシイ’と言われた。
大海が食って掛かるのは当然。自分はキレイな経営しかしていないと自負しているから。
「帳簿のこの数字ですね。前年度と比べると、非常に大きくなってるんです。おかしいと思いませんか?」
「その帳簿はどこの帳簿ですか?」
大輝も応戦。
「私も秘書としてこの会社の帳簿を管理していますが、そのようなものは見たことがありません。只今確認を!」
「無駄だ」と外部から来た公認会計士の男はそう言ったのを大海が聞いた。
「今プリントアウトしますね」
大輝が帳簿を管理していたのは全く外部との接触をしていなかったPC。ハッキングとかしていなかったもの。
「こちらが我が社の帳簿となりますが……。指摘された帳簿とは違いますね?どこの帳簿でしょう?」
「バカな…これはこの会社のPCをハッキングして作った帳簿。なぜ、違うものが?」
「あら、ハッキングされたのですか?いやだ犯罪ですのよ?会計を偽装して罪を被せようとしていたなんて、公認会計士としてこの先信用されるのかしら?」
大輝がとどめを刺した。
白虎商事と白虎組との繋がりを追及されるのが面倒なので、訴訟はしなかったがこの公認会計士に未来はないだろう。大輝が噂をネットで流すから。




