百二十層:神話を殺すには.03
エザンバウト技術局。
新設された建物の地下階層に設けられた第三実験室。
元はネクのために買い足された、旧世代の演算機を置くためのバックヤードだったそこ。
今では戦略会議の決定を受けて、急遽改装されていた。
かつての崩壊を思い出させるように、壁には一部亀裂がうっすらと残っている。
けれど今、その空間には演算機の冷却ファンの風音が絶え間なく響いていた。
奥で何かが爆発し、小さく揺れる。
「ちょ、また爆ぜた?!……もう二重装甲じゃ足りないって、いやマジで!」
派手に火花を散らして黒煙が上がる。
天井のファンが悲鳴を上げるように回る中、アントラが顔面すすだらけでゴーグルをずらした。
イデラ製ノートパソコンの画面には、先ほど試作した爆裂ウフ弾頭のデータがずらりと並んでいた。
「……はーー、ほんと、やってらんない。なんでウチが、神話級の処刑兵器作んなきゃなんないのよ……」
焦げた床を安全靴が踏みしめる。
周囲では、研究員たちが無言で爆発のデータログを回収していた。
【出力不安定】
【対象の反応速度に非対応】
【破壊力不足(大幅)】
エラーログの海に、真っ赤な警告が滲み出すように並んでいた。
「“ひとりの天使を倒すための”兵器開発って、なにそれ?……マジで、発想が終わってるよね」
「主任の通信機も、すっかり戦術に組み込まれちゃいましたね……」
アントラは片手で分厚い作業手袋を放り投げながら、
奥のホワイトボードへと、げっそりした目で視線を向けた。
そこには、研究員たちが夜を徹して書き殴ったマーカー跡、意味不明な数式、焼け焦げた紙の欠片。
そして溶解した金属片がマグネットで貼られている。
地獄の絵面だった。
あいつの適性 “重力” を封じるフィールド。
一定半径内の時間を“遅らせ”、刃を鈍らせる見えない壁。
──いや、時間のウフ前提なのやめろって。
そもそも予算降りると思ってんの?
一粒で人生イージーモード突入の宝だよ?売ればいくらになると?
全層統一使用ルールにもガッツリ抵触するんですけどお……
ほんと何考えてんの、ここの上層部。
一定時間、半径三メートル範囲の質量を消す“無重力地雷”。
適性外の火力に耐える装備と盾。
空中戦に持ち込まれた時用の“風の靴”。
酸素調整や蓄熱まで編み込んだ強化版陽傘の試作……
……ここまでやって、“ひとり”用だからね。マジで笑えない。
“神獣の島”ソルファリウムを、“戦場”として成り立たせるために必要なもの。
ありとあらゆる“対ひとり”の戦争設計図。
研究室には食べかけの硬くなったパン、冷めきったコーヒー、
そして同僚たちが書き残した“もう無理”のメモ。
アントラは深くため息をついた。
「はーーーー……戦争ならなんでもありかよ」
実現可能かどうかは誰にもわからないまま。
そのすべてが、「討伐対象:ジャック・J・ジッパー」の名のもとに分類されていた。
「……これ、ネクには見せらんないなあ…」
ふと、心の中のぼやきが漏れる。
毎晩繰り返される、ネクのアップデート。
観測球を通してジャックがどんな天使かを測る時間というよりも──
アントラにとって今は、ネクがどんどん“生き物”になっていく過程を楽しむ時間になっていた。
それも、ウチだけじゃない。
ネクが成長してるのは、技術のアプデだけじゃなくて、ジャックが与えてくれる“熱”の影響が大きいってわかってんのに……
今、このホワイトボードをあの銀球が見てしまったら。
たとえ命令したとしても、二度とウチの元に戻ってこないんじゃないかとさえ、思ってしまった。
ただホワイトボードを眺めるアントラの背後。
遠慮がちに、若い研修員が小さく問いかけた。
「主任……ジャックって、ほんとに“敵”なんですかね?」
「……知らないっての」
即答しつつ、アントラの目だけが一瞬、曇る。
部屋の隅に置かれた監視用のウフ結晶──残光晶が揺れたように見えた。
──記録に残されても、どうでもいい。
どうせこの兵器の数々は、ウチがいなきゃ形にすらならない。
クリスは自分を手放さない。
自分はここの金がなきゃ、何も生み出せない。
でも、生み出したいものは、自分では選べない。
だから余計に、何もない島で、唯一の相棒も失ったくせに、
同じように、見えない“首輪”をかけられてなお、
世界に迎合しないあの銀髪が憎たらしいほどに、羨ましかった。
「そりゃ、あのエザンバウト崩壊は、マジで地獄だったけどさ。それこそ、滑り出しの観測機も全部やられてて、復旧にどれだけかかったか……」
「……」
「何十万ノワ積んで買ったイデラ製品だって、どんだけ壊されたと思ってんの?」
でもさ……
「……でもネクは、壊されなかった」
その言葉に、助手たちの視線がアントラへ集まる。
「クリスは、ネクのこと“観測機”としか呼ばない。なのにジャックは、“ネク”って呼ぶ」
「……主任…」
「ま、名前つけた張本人だから、そりゃ呼ぶんだろうけど」
疲労が滲む笑みを口角に浮かべるアントラ。
彼の目がわずかに細くなる。
「でも──何回壊されても、言葉ひとつで直せるほど……あの呼び方には、ウチ、ちょっとだけ“マジか”って思ったもん」
不意に、アントラは自分の頬を両手で叩いて笑う。
「ったく、情で兵器開発止められるなら、ウチだってやめてるっつーの」
ホワイトボードの“討伐対象”の名を見上げる。
「ウチ、ジャックのこと好きでも嫌いでもない。たださ、“動かないでくれ”って思うのは本音なんだわ」
「え……それって、怖いからですか……?」
「そりゃそうだよ。動いたら、全部終わんの。浮島ん中でも指折りの大きさのエザンバウトを割るんだよ?誰も止めらんないって」
そして、ふっと視線を下げる。
「動かなきゃ無害。ただの、静かな天使。黙ってるだけで、あの空間が保たれてた」
「……」
「ネクと過ごしてるだけなら、誰も傷つけない。ウチも、ただロマン追いかけて──爆発オチだけの装置作ってられたのに」
爆煙の残る試作機をちらりと見やる。
「なのにさあ……動いた瞬間に、全部が“兵器”に変わる。ウチの頭脳も、技術局の予算も、“世界を壊すため”に使われんの」
そこまで言って、アントラは最新モデルのタブレットをパタンと閉じた。
その背面に記された、齧られた林檎のマークがウフ灯にわずかに光る。
イデラ製品だから、きっと偶然なんだろうけど……
彼は指先でなぞりながら、その果実の“意味”を思い出していた。
「……宇宙船とかロマンあるやつ、なんでウチら作れてないんだろ」
その呟きに、誰も返事をしなかった。
けれど、アントラの表情には、明確な諦めがあった。
「やるよ。やるけどさ。マジで願ってるからな」
アントラはホワイトボードを見上げたまま、長く息を吐いた。
しばしの沈黙のあと、ぽつりと。
「──どうか、この兵器が“使われませんように”。ウチらが作った全部が、無駄になりますように」
その言葉だけは、誰よりも本気だった。
*
ジャック討伐に向けた兵士の選抜は、訓練場ではなく、映写室から始まった。
暗幕を下ろした小部屋に、百名弱。
態度も悪くふんぞり返って座る戦士崩れ、古参の肩章をつけた者、剣を持たない市民上がり。
誰もが正面を向く。壁いっぱいの白布に、無音の映像が落ちた。
映し出されるのは、ジャックの戦闘ログ。
光が跳ね、影が裂け、次の瞬間には構図そのものが崩れる。
最前列でわずかに肩を跳ねさせた者。すぐに、脇の記録官が名簿に赤い印を落とす。
瞳の揺れも、瞳孔の開きも逃さない。
無音のまま、映像は続いた。
「──映像を最後まで直視できなかった者は、その場で終わりです」
心理分析官の声は平板だった。
誰かが祈るように胸を押さえ、誰かが指先を組んだまま動かない。
剣──銃──盾。
武器を持ち替えるたび、画面の彼は別人になり、以前の姿を忘れさせた。
眼を逸らしてはいけない。
だが、魅入ってもいけない。
静かに退席を促された天使がひとり、またひとりと増える。
残った者たちは無言のまま席を詰めた。
──恐怖ではなく、耐性の選別だった。
映像耐性試験のあと、訓練区画に移動した者たちには、薄い金属の輪が配られた。
耳に掛ける小型の通信機。ただ音を受信するためだけのもの。
訓練棟の壁にかけられた布には“即応”の二文字。
「一本の声に頼るな。戦場は広い。誰もが見失う、その瞬間を埋めるのは“合唱”だ。 指揮官の声は線、現場の声は面。全員の声で奴の輪郭を起こせ。 一本落ちても残りで拾え。──立て」
笛が鳴り、もう一つの笛が重なる。
号令、報告、呻き、息を呑む音、靴底の乾いた床打音──
それらが重なり合い、やがてひとりの怪物が“聴覚の地図”として現れる。
……耳が飽和する。鼓膜の裏側から戦場が押し寄せる。
それは同時回線の試験の体をした、拷問だった。
「斧──回避」
「銃──低姿勢で接近」
「盾──構えろ」
「切り替え三連続!遅れるな!」
「目の前だけを追うな!五感で拾え。一本落ちたら残りで補え!」
戦士であろうと、戦士でなかろうと関係がなかった。
見られているのは意志と覚悟。そして──殺意。
照明が不規則に瞬き、床の白線が消える。
空調が切り替わり、低酸素の風が流れ込む。
肺が膨れるような酸素の薄さ。
肌が焼けるような凍える空気。
万が一、“陽傘”が破られたときに備えた“順応”試験。
同じ棟の別室では、重力操作機が稼働し、上下左右に世界が裏返る。
踏み出した足が浮き、膝が笑い、歯が鳴る。
三半規管の狂いなど生ぬるい。
世界そのものの酔いを、噛み潰して耐える。
「視界を奪われたら耳で拾え。耳が潰れたら足で読む。足が折れたら──這ってでも判断を繋げ」
志願者の多くは、かつて鍵を失った戦士たちだった。
一度奪われた“誇り”。
それが世間的に本物だったかどうかは、もう二の次だった。
彼らがここに来た理由はただひとつ──ジャック・J・ジッパーへの報復。
鍵を奪われたあとの惨めさは、奪われた者にしか分からない。
最初のうちは、同情もあったかもしれない。
だが、ジャックの名が“英雄”に傾くほどに、彼らの敗北は「正義の代償」だと嘲られた。
まさしく弱肉強食の世界。
勝者が正義を語り、敗者は沈黙を強いられる。
あれほど主流だった“鍵の誇り“も“戦いの前のランタンの火“も。
あいつの名が売れるほど、綺麗に価値観は裏返る。
それが何律動と続き、彼らの怨嗟は静かに堆積していった。
耐久試験に加え、戦士たちにはさらに別の試験が待っていた。
汗の匂い、金属の音、短い罵声。
斧、銃、盾、剣、鞭──
壁から突き出る鉄のアームが武器を切り替えるたびに速度が上がり、数名がふらついて膝をつく。
それでも立ち上がった者だけが、次の区画へ進んだ。
汗が鉄と混ざり、皮革と粉塵の匂いが鼻に貼りつく。
膝をつく音。立ち上がる音。
立てなかった者に、誰も声をかけない。
慰めに費やす余裕は、ない。
最後にもう一度、映写室。
今度は音声があった。
血の気が引くほど静かな声で、画面越しに美しすぎる天使が言う。
『──俺のことを神話にしてえなら、殺してみせろ』
一瞬の静寂。
その一言で、場の息がすべて吸いこまれた。何人かの喉が、意図せず鳴る。
名簿に再び赤が落ち、書記官の手だけが淡々と動き続ける。
最初から、無傷で通過する者がいるとは誰も思っていなかった。
鉄を何度も叩き鍛えるように、ここで試されているのは、意志の“強度”だけだった。
残った者は、わずかだった。
*
エザンバウトの空は、相変わらずの青を湛えていた。
蟹の形に切り抜いた紙飾り。
新年を祝うはずのそれは半分だけ外れたまま、掲示板に新しい紙が重ね貼りされる。
〈戦士募集〉
崩壊で事業、生活基盤を失った者、優先
黒い文字は乾いているのに、街の空気だけが湿っていた。
数日前の新年の儀に姿を現した、あの銀の背中を皆が思い出す。
今まで二つに割れていたその名は、最初こそ大きく秤を揺らしたが──
各紙報道の煽りもあって、いまやほとんどが“怪物”へと傾いていた。
「優しい天使だって、みんな言ってたよね…?」
「優しいっていうか……“戦士以外に手を出さない”って話だった。でも──」
「悪魔どもへの抑止力になれるかもしれなくても……あんなに言葉が通じないなら、ただの“化け物”と一緒だ」
街の広場の露店横。
香辛料の匂いの横で、喧嘩は起きない。
杖を使う子供を支えながら、兵士募集の紙に手を伸ばす若い親。
剣を腰に差したまま紙を睨み、何も書かず背を向ける戦士。
そのすべてが、ジャックという男の“異端”さを、ようやく本当の意味で理解していた。
あれは天使でありながら、天使ではない。
表面だけで見れば良い天使にも見えるかもしれない。
粗暴な態度も、粗雑な言葉も、話せば救われたという天使が少なからずいたとしても。
文化や、信仰にそぐわないのであれば──
あれは悪魔と変わらない。
ただ、それを口に出した瞬間、自分たちの英雄信仰そのものが崩れることだけは、皆が薄々分かっていた。
石畳を渡る風が、掲示の紙をふわりと浮かせては落とす。
誰も拾わないまま、紙は陽の当たらない隅に沈んでいった。
青年が、掲示の紙に名前を書こうとして、ペン先を止めた。
折れるほどペンを握り込んだまま、その場で立ち尽くしている。
横で老人が静かに言った。
「やめてもいい。名は紙から剥がせるが、戦場からは剥がせん」
青年は頷きもせず、紙から半歩だけ下がった。
彼の背中で、見知らぬ女が進み出る。
──金のネックレスを握りこんで、彼女は震えない筆致で自らの名を書き込んだ。
ざわめきとも沈黙ともいえない街のはずれ。
かつてない大きさの陽傘と、予備酸素タンクを積んだ荷車が軋む。
梱包の紐を締め直しながら、作業員がぽつりと言う。
「ソルファリウム行きだってよ。最高度。……落ちたら、どうなんだろうな」
「……落ちる前に、耳が壊れそうだな。通信機の耳飾り、つけてみたけど地獄だった」
冗談を装った言い方は、笑いに届かない。
ふたりは荷車を押し出し、港の見える通りへと曲がった。
「──俺、志願しました」
ウフ鉱山道を行き来するトロッコを引きながら、若い鉱夫が呟いた。
美しい宝石のようなウフの粒を確かめていた、老齢の天使が顔を上げる。
「映像は……全部見たか」
「はい」
「吐いたか」
「……一度だけ」
「それなら、吐き切ったぶんだけは進める」
老天使は余計な慰めを言わない。
ただ、燃えるように赤い炎のウフをつまんでいた鉄箸を置いて、若い背を軽く叩く。
叩いた場所が、彼の鼓動に合わせてわずかに震えた。
酒場の奥では、薄い水で割った酒を前に、三人が黙っていた。
誰かが口を開く。
「白燈の椅子、今度こそクリスが座るんだろ」
「埋まったら、落ち着くのかね」
「落ち着くふりは、できるんじゃねえか」
三人は笑わない。
笑わないまま、杯を空にした。
そしてある朝、唐突にそれは鳴り響いた。
エザンバウトの南の淵。
うねる坂の上に立つ白亜の城──白燈。
その先鋭の塔のてっぺんに吊るされた大きな鐘が、鳴り響く。
──ゴオォォ……ン──
それは、時代の幕開けの音。
誇りの象徴。天使社会の頂点。
その椅子に、誰かが座る。
それを知らせる鐘の音が、突き抜けるように冷たい空に、重く、広く、鳴り響いた。
それから数刻。鐘の余韻がまだ空の高みを巡っている。
天使たちは白燈の中庭へ流れ、石段に等間隔の影が並んだ。
報道局の者たちが、前のめりになって演説壇の前を陣取る。
──白燈の椅子。
城の中にあるそれを、実際に目にすることができるものは少ない。
だが、そこに“座る”という行為は、声明であり、決意であり、そして覚悟の声のもと行われる。
歓声はない。怒号もない。
息を止める音だけが重なって、風花の揺れる中庭は薄く満たされる。
やがて、クリスが現れた。
短く切りそろえた銀髪が風に揺れ、褐色に焼いた肌がソルの日を照り返す。
純白のマントを翻しながら、凛とした背筋。
彼女は歩みを緩めず、演説壇の前にまっすぐやってくる。
「──長きにわたり、私はここ白燈の椅子を守ってきました。誇り高く、驕り高ぶらず、正義のもとに弱きを守れる者が現れるまで」
声は低く、よく通る。
「けれど──現れなかった」
その一行で、広場の輪郭が一段、固くなる。
彼女は一度だけ視線を上げ、空のもっと高い場所──蒼殻最高度の島、ソルファリウムの方角を見た。
そして視線を戻す。
「だから、私がここに座る。空席が生む不安定を、私の責務として埋める」
その場に、拍手は生まれない。
誰かが深く頷き、誰かが口元を固く結ぶ。
鐘は鳴らない。
ただ、遠くで陽傘の淵に風がぶつかる音だけが、薄く続いた。
「──沈黙を守れ。黙すべき者は、黙していよ」
群衆の中で、誰かが息を呑んだ音がした。
彼女は誰の名も呼ばない。
誰の罪も数えない。
けれど、誰もが同じ名を胸の内で見た。
それだけだった。
声明は短く、余白が、冷たく残った。
要るものだけが置かれ、要らないものは言われない。
広場の空気は、長く泳いでいた魚がようやく底を見つけたように、ゆっくり落ち着いていく。
エザンバウトに限らず、それは全ての浮島の未来を左右する瞬間だった。
だが、彼女の着座を祝福するよりも、もっと大きな不安が島々を包んでいた。
天使たちは誰ともなく、毎日、低空に浮かぶヴェルトルクを見下ろす。
全ての浮島で、まことしやかに囁かれる、彼の名前。
「…ジャックに備えてるって噂、ホントかな」
「でも…動かないでくれよ、頼むから…」
「化け物は、もう立たなくていい」
それに、誰も反論しない。
うなずきは、連鎖ではなく、各自の胸の内で別々に起きた。
それでも、願いの形は同じだった。
──どうか、あの男が二度と立ち上がりませんように。
言葉だけが空中で薄く漂い、風でちぎれていく。
──お願いだ。
ジャック。
お前はずっと、そのままでいてくれ。




