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17、少女と噂

その日も、私が床につく準備をしているときに定はやってきた。慣れるまでは、定が声をかけなければ気がつかなかったが、最近では定が現れると優しく風が吹くことに気付いた。


「定さん?」


『はい、姫様。』


「今日もいらしたのね。本日の晴明様はどのような様子でしたか?」


面と向かって会う勇気は持てないが晴明様の事は気になる私は定に日課のように同じ問いを投げ掛けていた。

そして、今日はいつもより体に力が入っていた。


17、少女と噂


『あの晴明が人間と一生の契約を交わすらしい。』


相変わらず、聞きたくはないのに私の耳は妖の声を拾っている。それを前ほど疎ましいとは感じなくなった。

妖たちは、私に聞こえていないと思い好き勝手話をしていく。

今日もいつものように聞こえないふりをするつもりだったが、内容が気になるだけに、私は反応してしまった。


「それって、結婚…?」


『あああ!そんな契約名だったような!』


私はすっと立ち上がり、庭に向かって話しかける。


「どなたか存じませぬが、そのお話詳しく話して頂けませぬか!?」


私が声をあげるとわぁっと驚いた声が聞こえたあと、辺りを静寂が包んだ。


「お待ち下さい。お願いですから!」


再度声をかけるも、返答はなかった。


妖たちもびっくりしたのだろう、まさか私に話を聞かれているとは思わなかったのだろう。


妖たちに声をかけることが、危険なことは理解している。


妖も人と同じで、善良な者ばかりではない。

危険をおかしてでも、私は知りたかった。




一日をもやもやした気持ちで過ごした。

夜になれば定が訪ねてくれる。

その際に聞けばいいと自分をなだめた。


そして、いざ定を前にすると思うように言葉を紡ぐことができなかった。


『姫様?今日はどうなさいましたか。』


定のその問いに私は一日気になっていたことを口にした。


全てを話したあと、私は定の答を待った。その時間はとても長く思えた。


そして、定は言ったのだ。


『私は、晴明様の事を姫様にお話することはできません。姫様がご自分で晴明様に確認ください。姫様にならば、晴明様は真実を教えてくださいますでしょう。』


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