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16、少女と夜の話し相手

晴明様の「お待ちしています。」との言葉に私は浮かれていた。家族にいろいろなことが起きたため、すぐにその浮かれた気持ちは現実に戻されたが、それでも浮かれた。

また会いに行ってもいいという事に浮かれたし、彼が私と関わりを持ち続けてくれるという事がうれしかった。定が期待するように人間の世にも馴染むきっかけを、もしかしたら作ることができたのかもしれない。そんなうぬぼれた気持ちがあったのも確かだ。


それは全て私の勘違いだった。


16、少女と夜の話し相手


母は徐々に回復し、今は起き上がることができるようになった。最悪の最期をも視野に入れていた私たち家族はほっと息をついた。そよの両親も大事ないとのことで、そよ自信も安心したようだ。父も徐々に家に帰れるようになってきた。目処がついたと、顔をほころばせて教えてくれた。私の体も順調に回復して、今は何ともない。病み上がりの母の分まで働くことができていると思う。


吉事が続く中、義兄さんが新しい妻を迎えたと、姉だけは騒いでいたが。


しかし、回復したのは体のみ。私は落ち込んでいた。

そう簡単に事が運ぶとは思っていなかった、いなかったが。期待していたぶん、衝撃は大きかった。それから3日は晴明様のお宅に伺えないくらいには落ち込んでいた。そんな私を励ましてくれたのは定だった。

彼女はあの一件以来、私のそばにいてくれている。以前と違うのは、話しかけてくれるのでそこに彼女が存在すると、示してくれること。式神として晴明様についていなくて良いのか問うと『晴明様のご指示ですから。』とのこと。

きっと、この間の事を晴明様も気にしてくれているのだろう。

私としても定がいてくれると励まされる。だから晴明様と定の好意に甘えてしまっていた。


定とはいろいろな話をした。定は晴明様が幼少の頃よりおそばにいるとのこと。晴明様のご成長を見守ってきた、言わば母親代わりだという。

定の姿を見ることは出来ないけれど、定が穏やかな式神だということは分かった。その声音は優しく、私を愛でるような印象を持たせた。


そんな定も四六時中私のそばにいるわけではなく、私が夜眠る準備をし始めた頃に話しかけられる。初めて話しかけられたときは、びっくりしたものだ。時間も時間である、いくら人ならざる者とは言え、っと思ったが定が申し訳なさそうな声で『主の命なのです。』と言われると、咎める気にもならなかった。それから、日課のようになった定の夜の訪れ。いつの間にか毎日の楽しみに変わっていた。

そして、夜があける頃に定はいなくなっているようだった。時には昼間にも話しかけられるがその頻度は圧倒的に夜が多かった。

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