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いらっしゃいませ!田舎町の小さな喫茶店です(裏では魔法や発明など何かしらが得意な仲間たちが悪事以外のご依頼を承ります)  作者: memsho


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8/11

7 spoonfuls 



ここは、カフェ・ポルミ。


森と川に囲まれた小さな田舎町、フィルネッタにひっそりと佇む、小さな喫茶店。


クリーム色の壁に淡い緑色の屋根。白い窓枠には蔦が絡まり、庭先では色とりどりの花々が風に揺れている。

窓から差し込む柔らかな朝日が、木製のテーブルを温かく照らしていた。

厨房からは、焼きたてのスコーンの香ばしい匂いが漂ってくる。

小鳥たちのさえずりが聞こえる、穏やかな朝。


そんな静かな空気を、軽やかなベルの音がくすぐった。


チリリン♪


「いらっしゃいませ!」


フランがすぐさま顔を上げ、にこやかに入り口へ向かった。


「おはようさん、今日も元気だねぇ、フランちゃん」


扉から顔を覗かせたのは、白い口ひげを蓄えた、小柄なおじいさんだった。

その隣には、ふっくらとした頬が愛らしい、白髪のおばあさん。


二人とも、カフェ・ポルミには毎日のように顔を出す常連客だ。


「おはようございます。いつものお席、空いておりますよ」

「おお、そりゃありがたい。ほら、ばあさん。今日も窓際が空いとるぞ」

「あらあら、そんなに急がなくても、お席は逃げませんよ」


おばあさんがくすくす笑う。


「この人ったら、朝からずっと『今日もポルミのスコーンを食べるんじゃ』って楽しみにしていたのよ」

「ほっほっほ。毎朝の習慣になっておるからな」


おじいさんは白い口ひげを撫でながら、窓際の席へ目を向けた。


「ポルミのメニューは何でもうまいし、お茶も格別じゃ。それに、あの席から眺める庭も見事じゃ。いつ来ても色とりどりの花が咲いとって、小鳥たちが遊びに来る。」


おじいさんはおばあさんの方へ顔を向け、優しく続けた。


「そんな庭を眺めながら、ばあさんとゆっくりお茶を飲むのが、わしの一番の楽しみでのぉ」

「あらあら、そんなことを言って」


おばあさんは少し照れくさそうに微笑んだ。


フランも、二人の様子に思わず頬を緩める。


おじいさんは目を細め、窓の向こうへ視線を向けた。


丁寧に手入れされた庭には、季節の花々が咲き誇り、その間を小さな小鳥たちが楽しそうに飛び交っている。

花壇の縁にちょこんと止まった一羽が、澄んだ声でさえずると、もう一羽が応えるように鳴いた。



「ふふっ。ちょうど今、カルシティルがスコーンを焼き上げたばかりですよ」

「おおっ! そりゃますます楽しみじゃ!」


二人を窓際の席へ案内すると、フランは手際よく椅子を引いた。

おばあさんが腰を下ろすのをそっと支え、おじいさんの杖も、手の届きやすい場所へ立てかける。


「さて、ご注文はいかがなさいますか?」


フランがにっこりと微笑み、注文帳を開いた。


「わしはスコーンを二つじゃな。今日は何がおすすめかね?」

「本日のおすすめは、はちみつミルクのスコーンと、焼きりんごとシナモンのスコーンでございます」

「ほほう! どちらもうまそうな名前じゃのぉ」

「はちみつミルクは、外はさっくり、中はふんわり。蜂蜜とミルクの優しい甘さが特徴です」


フランは説明しながら、焼きたてのスコーンを思い浮かべた。


さっくりとした生地を割ったときに広がる、甘い香り。ふんわりとした中身に、蜂蜜とミルクの風味がじんわりと広がる。


……ああ、なんだか自分まで食べたくなってきた。


そんな気持ちをそっと胸にしまい、フランは何事もなかったように説明を続ける。


「焼きりんごとシナモンの方は、甘酸っぱいりんごをたっぷり練り込んでおりまして、しっとりとした果肉の食感と、香ばしい生地の組み合わせが楽しめます。シナモンの香りも、とってもいいんですよ」

「おおお………! 聞いているだけで腹が減ってくるわい!」


おじいさんは白い口ひげを嬉しそうに撫でた。


「よし! それなら一つずつ頼もうかの!」


「かしこまりました! はちみつミルクのスコーンと、焼きりんごとシナモンのスコーンを一つずつですね」


フランが注文帳にさらさらと書き込む。


「それと………」


おじいさんは少し顔をしかめ、腰をとんとんと叩いた。


「最近、どうも腰が重くてのぉ。今日は腰にいいお茶をお願いできるかね?」

「もちろんです。リュネに相談してみますね」

「おお、ありがたい。あの子の淹れるお茶は、香りも味も格別じゃし、飲むと不思議と体の痛みが和らぐんじゃよ」

「ふふっ。伝えておきます。きっと喜びますよ」


フランは微笑んでから、おばあさんへ顔を向けた。


「奥様はいかがなさいますか?」


「そうねぇ。私は季節の花のクッキーをいただこうかしら」

「今日は秋のコハクリアを使ったクッキーです。キャラメルのような甘く香ばしい香りがするんですよ」

「まあ、素敵! それをお願いするわ。それから、お茶はいつものを」

「かしこまりました! 少々お待ちくださいませ」


フランは注文帳をぱたんと閉じ、軽やかな足取りで厨房へ向かった。


「カルシティル! 本日のスコーンをそれぞれ一つずつと、季節の花のクッキーを一皿お願い!」

「はぁい! すぐ用意する、よぅ!」


厨房の奥から、カルシティルの明るい声が返ってきた。


「それから、ルテリュは………」


フランが調合棚の方へ目を向ける。

けれど、そこにリュネの姿はなかった。


「あら? また薬草畑かしら」



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