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4.毒属性と薬師組合

その後ご飯をご馳走になった。

村の祖父母が毒の専門家だった。祖父母が死んで村にいづらくなった。

毒を作り出せる特殊能力で誘拐されそうになったので秘密にして欲しい。

等々嘘の身の上話を精一杯語った。

「ということがありまして」

「あんたも苦労したのね」

受付のお姉さんは泣いてくれたが、教授は適当な相槌を打つだけで食事に没頭していた。


さて

薬師組合。

簡単にいうと薬局だ。

ただこの世界、薬剤師の免許があるわけではないので民間療法で適当な薬を出しているところもあるらしい。

薬師組合は一応公的な機関なので「ちゃんとした」薬を販売し、新しい薬を作る研究所でもある。

医者っぽい職業もあるが、どちらかというと呪術師に近いらしい。

なのでこの世界の人々は基本、薬に頼って生きている。

それだけ薬師組合は大事だってことだ。

ちなみに教授がこの街の薬師組合の責任者だそうだ。

ほかにも薬を調合する人が20人ほどいるらしい。

薬師組合にも調合する設備はあるが、ほとんどの薬師は自分の家、あるいは研究所で薬を作り、薬師組合に卸しているという感じ。

教授ももちろん「ちゃんとした」薬を作れるが、新薬開発の研究の方に力を入れているとか。

特に解毒剤の研究に熱心で、今回の麻痺毒騒ぎも、冒険者の死亡率が高い黄色大蛇の麻痺毒をなんとかできないか研究していた矢先の出来事だった。

残念ながら俺は毒吸収はできるが解毒剤の作り方は知らない。

まあ、なにか協力できることがあればお手伝いしよう。

一宿一飯の恩義である。



ということで毎日毒を作っている。

何故なら楽しいから。

瓶があるので捨てることもない。

地味にうれしい。


何が楽しいかというと

イメージできればどんな毒も作れるからだ。

麻痺毒1つとっても

経口摂取

粘膜接触

皮膚吸収

空気感染

即効

遅効

などいろいろ作れてしまうのだ。

多分俺が天才だからだろう。

ただしあまりやりすぎると整理が大変だというのと

そこらに置いておくと危なすぎるので自重している。

あと水を運ぶのもちょっと大変。

一度液体で作ってしまえば、それを固体にすることもできた。

というか媒体が固体なら最初から固体でも作成可能だ。

間違って食べられると危ないので基本液体にしてビンにいれ、仕分けしている。

部屋には鍵を付けてもらい、鍵付きの棚も用意してもらった。

さらに勝手に入るとよくて麻痺、下手したら死ぬんで入らないでくれと伝えてある。

受付のお姉さんは本気でビビッていたが、教授は少し試したそうだった。


ありがたいことに薬師組合には瓶が豊富にある。

とはいえタダではないので、薬師組合のお手伝いのほかに冒険者としても小遣い稼ぎをしている。


「教授、取ってきましたよ。緑大我の幼虫」

冒険といっても毒系の魔物討伐中心だ。

毒系の魔物の討伐依頼は冒険者から避けられがちだ。

毒を食らえば余計な出費が嵩むし、死亡率も高くなる。

だが俺は毒耐性持ち。

毒虫位なら素手で摘まめる。

討伐依頼とは別に教授のお願いで毒持ちの生物やら植物を取ってきている。

そこで教授が作った図鑑が非常に役に立つ。

この世界の毒持ちの動植物が網羅されているのだ。

例えば成虫になると体調50cmにもなる緑大蛾は、幼虫の毒は炎症を起こす程度だが、

成虫の鱗粉は呼吸困難を起こす毒となる。

教授はそういったことを図解つきで細かくまとめて図鑑にしているのである。

冒険者にとっては必読書といっていい。

その本の売り上げは、薬師組合の運営の助けになっているのは確かだ。

ただし、教授のそれは毒持ち以外の記載は一切ない。


冒険者組合に出される討伐依頼は当然毒持ちばかりではない。

だが俺は、毒持ちの方が狩りやすい。

毒系の魔獣は自分たちの特性をわかっている。

例えば黄色大蛇なら一噛みすれば相手は麻痺する。

一噛みさえすれば勝つと思って襲ってくるのだ。

そこにスキが生まれる。

そして俺の毒の方が強力なのだ。

まあ、黄色大蛇を麻痺させて持ち帰った時には皆呆気に取られていたが・・・。


俺の得物は短剣だ。

薬師ギルドにあったものを貰った。

短剣に自分で作った麻痺毒を塗る。

致死毒も作れるのだが、その死体を扱う人がどうなるかわからないので麻痺毒中心に使っている。

投げナイフも何本かもっている。


生活も安定し、瓶代以上に薬師組合にはお金を入れられるようになった。


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