11.毒属性の新居
薬師組合
「と、こんなことがありまして」
なんとか落ち着いたところで薬師組合に行き、ざっと今まであったことを教授に報告する。
「まあ、無事に帰ってきてよかった(辺境伯様が)」
「本当に心配してました?」
「心配したに決まってるでしょ!(薬師組合の未来を)」
「まあ、いいです。それでこれからのことなんですけど、まだ部屋って余ってますかね」
「それなんだが代官様から手紙を預かっている」
「え?」
手紙の内容は辺境伯様から俺のために家を一つ用意してやってくれと頼まれたので用意したから勝手に住め、というものだった。
「ということみたいです」
教授たちに手紙の内容を話すと愕然とされた。
「辺境伯様を毒で脅したりしてないよな」
「トリートちゃん、あなた本当に自分の意志でついてきたの?」
どうしても俺を悪人にしたいらしい。
「お姉ちゃん、ご主人さまに脅されてるの?」
「ジスト、何度もいってるけどお姉ちゃんは身も心もご主人様に捧げると誓ったの。辺境伯様の許しを得て、自分で決めたのよ」
「じゃあ、アタシも!」
いや組合長も受付嬢もそんな目で見ないでください。
妹には手を出しませんから…。
代官が用意した家は代官屋敷ほどではないが、結構な大きな家だ。
代官屋敷の隣でなくてよかった。
辺境伯からかなりの礼金をもらったので家具や食器を揃える。
ここから俺の異世界スローライフの始まりだ!
と思っていたのだが…
引っ越した翌日、代官の執事セバスが訪ねてきた。
「ヴェノム殿、まことに言いずらいのですが」
「はい、なんでしょう…」
「辺境伯様よりヴェノム殿に護衛をつけたほうがいいのではと、代官様にご提案がありまして」
「いりませんから!貴族でもあるまいし!」
「はい、私もそう思うのですが、辺境伯様からのご提案ですので、代官様は…」
あのヘタレ忖度代官め。何も考えずに辺境伯のいうことは何でもやる気だな。
「私から辺境伯様にお断りの手紙など送ってもいいですかね」
「はい、手紙でしたら代官屋敷経由でお届けできます。ただ」
「ただ?」
「ヴェノム殿には護衛など必要ないと証明してからのほうが確実ではないでしょうか」
「なるほど。ではこの家がどんな強固な結界守られているか、代官様に目にものみせてやりましょう!」
ということで代官と戦争だ。
ではなく、模擬攻城戦をやることにした。
攻城戦といっても家だけど。
そんな提案をセバスさんにしたら、結構乗り気で賛成してくれた。
辺境伯様にも直接見てもらってはとのことなので、思い切って呼ぶことにした。
まあ、エンターテイメントだ。
期日は1か月。
いろいろと準備しないとな。
いひひひ。




