第33話 長身イケメンの実父は超トラブルメーカー
ジョナルド卿は、シェイラの実家であるアースキン家の門の前に自動車を乗り付けた。
すぐにドアベルを鳴らし、中の使用人を呼ぼうとする。
しかし、そこには既に先約がいた。
「おい!アースキン家のお坊ちゃま!出てこい!シェイラとアンジェラに会わせてくれ!」
先客の男は、身長190cm近く、茶色のボサ髪の超イケメンだった。
歳は40代半ばくらいだ。
白いスーツに身を包み、シルバーアクセサリーをいくつか付けている。
なんとも派手な格好だ。
ドアベルをガンガン鳴らし、シェイラと、その母親を出せと叫んでいる。
しかし、中の者に無視されているようだ。
「あの、どういった、御用件で?」
ジョナルド卿は、思わず、その男に聞いた。
「ああ?実の娘と妻に会いに来て何が悪い!」
長身のイケメン親父は、ジョナルド卿にそう言うと、ジロジロと見てきた。
「お前だなあ、リバースシールドの新入りでシェイラと結婚したっていうのは」
イケメン親父はジョナルド卿に言うと、いきなりパンチを一発、顔に入れた。
物凄い力で、吹き飛ばされるジョナルド卿。
「いきなり何を…」
倒れたジョナルド卿は、体を起こす。
陥没した顔面が、みるみるうちに回復する。
「ふん!アースキン家の坊ちゃんは認めたかもしれんが、この俺は、お前とシェイラの結婚を認めていない。お前との話は、後でする。まずは、シェイラとアンジェラだ。お前が、呼んでみろ」
イケメン親父は、そう言ってドアから下がる。
しばらく間を置いて、ジョナルド卿はドアベルを鳴らした。
「ジョナルド・ライオットです!シェイラ様を、お迎えに参りました。彼女に会わせて下さい」
ジョナルド卿が、そう言った。
「お嬢様は、ジョナルド卿が来ても帰ってもらえと仰られております。謝罪は受け付けないと」
中から、使用人が、シェイラが拒否していると知らせてくる。
「そこを何とか一目でも御目通りを!私も、このままでは帰れません!」
ジョナルド卿は、そう何度も言って引き下がらなかった。
「分かりました。そうお伝えいたします!」
根負けした使用人が、中に知らせに行く。
「娘をあんなに泣かせて!帰ってもらおうか、ジョナルド卿!」
ドアから、怒ったアースキン家の当主、シェイラの父親が剣を片手に出てきた。
「おう、ひさしぶりだな、ボイドの坊ちゃん。俺が送った養育費やシェイラとアンジェラへの手紙を全て突き返してきやがって。おまけに、結婚式では目の前で娘を毒殺されかかるとは、お前は父親失格だ」
先ほどのイケメン親父が、アースキン家の当主ボイド卿の目の前に歩み出て、彼を見下ろしながら言った。
ボイド卿は、ジョナルド卿よりも少し背が低く、あまり大きくない。
それを、長身のイケメン親父が、上から睨みつける。
「何を言うか、この浮気性の最低男め!返したのは、アンジェラの意志だ。離縁したのに、付きまとうな、このストーカー!」
ボイド卿は剣を抜き、長身イケメン親父に切りかかった。
長身イケメン親父は、その剣を素手で掴む。
しかし、全く切れない。
「おう、お坊ちゃんが舐めた真似するんじゃないぞ。確かに俺は、他の女も愛しているが、シェイラとアンジェラは特別なんだ。その証拠に、ずっと高額の養育費を送り続けているだろう」
長身イケメン親父は、ボイド卿を睨みつける。
「ひぃいい」
ボイド卿は、思わず尻もちをつく。
「もう、やめて下さい。話し合えば済む事です」
ジョナルド卿が、イケメン親父の腕を掴んで言う。
「お前、まだ殴られたりないようだな」
イケメン親父が、ジョナルド様に言った。
「あ!パパ!」
その時、門の方からシェイラの声が聞こえた。
「おお、シェイラよ!本当のお父さんだよ~!」
イケメン親父が、両手を広げてシェイラに向かって走っていく。
「うちのお父さんに何しやがるんだ、このパパ〇親父がああ!!」
シェイラのパンチが、イケメン親父の顔面にめり込む。
「ぶはっ!いいパンチを出すようになった。魔力を使いこなすようになったんだな。さすがはパパの子だ」
倒れたイケメン親父が、身を起こして言った。
「ジャック!もう来ないで下さいと言ったでしょう。それに、何も頂きません!帰って下さい!」
シェイラの母親がイケメン親父をジャックと呼んだ。
「パパも、旦那様も大嫌い!もう来るな馬鹿!」
シェイラが、ジャックとジョナルド卿に向かって叫んだ。
そして、両親と一緒に門の中に帰っていく。
「シェイラ、アンジェラぁあ、許してくれえええ」
ジャックが、イケメンを情けない顔に変えて、涙ながらに訴えたが、返事は無かった。
「どうするんですか、これ。おかげで私の謝罪まで、うやむやになってしまいましたよ」
ジョナルド卿の自動車に、ジャックも乗り、二人で走りながら話す。
「あははは、すまん。お詫びに、とりあえず、お前達の結婚は不問にするよ」
ジャックは、情けなさそうに笑って言った。
「ところで、どういう事情なんですか?」
ジョナルド卿が、ジャックに聞く。
「俺は、シェイラの母親の前の旦那さ。シェイラは、俺の子だ。元宮廷魔導士だったんだが、女遊びがすぎて、家を勘当され彼女とも別れた。ただ、実力はNo.1と言われていてな。リバースシールドにスカウトされたんだ。コードネームは、ビッグマン。今は、リバースシールドの長官。お前達夫婦の上司だ」
ジャックは、身の上を明かした。
「率いておられるのは、クライシ―卿かと思っていました」
ジョナルド卿が、言う。
「現場のチームリーダーは、彼だ。しかし、組織の長は俺さ」
ジャックが、答える。
「とにかく、今日は城へお越しください。今度は、私一人でシェイラを説得します。その後で、お会いになればよろしいでしょう」
ジョナルド卿が、提案する。
「おお!お前、いい奴じゃねえか、少し見直したぞ。弱っちぃけどな!代わりにアンリーヌの件は、しっかりサポ―トしてやるからよ」
ジャックは、ジョナルド卿の肩に腕を回すと、機嫌を直して言った。
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