第玖話 本戦準決勝第二試合
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『ええ、本日は先日行われるはずだった準決勝第二試合を行います』
とまあ、そんなこんなで本戦準決勝第二試合始まります。
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準決勝第二試合。
黄泉瀬神威(Sランク4位)VSセリーナ・エインフェリア(ランク外)
『準決勝第二試合。選手は神速の二つ名を持ちその速さは学園一とまで言われるSランク4位黄泉瀬神威3年生となんとランク外からここまで勝ち上がりその全ての試合で一度も傷すら負っていないセリーナ・エインフェリア選手だーーーー!』
その言葉にセリーナは苦笑いを浮かべつつも試合が始まるのを待つ。
「そ、そんなことないです。私なんてまだまだです」
そう言っているのは神威。前述のとおり、神威は気弱で臆病な性格をしている。そのため、どんな言葉を聞いてもそんなことないと思ってしまっている。調子に乗るよりはいいのかもしれないが、逆に謙遜というか自分の否定がここまで行くとどうしようもないように思えてくる。
「ねえ?」
「は、はい?わ、私ですか?」
「あなた以外誰がいるのよ……。何でそんなに弱気なのよ?」
「え、あの、その……、何でと言われても……」
「自身を持ちなさい。あなたは間違いなく強い。私だって苦労するほどね」
もちろん嘘である。セリーナにとってあのスピードは対応できるレベルなのだ。もちろん、簡単とは言わないが。
「え、その、それはどういう?」
「試合を終えたら教えてあげるわ。あなたは間違いなく必要な人材だしね」
「?」
神威が疑問符を頭に浮かべている。もちろんあくまでそんな風に見えるだけであって、実際にはそんなことはないのだが。
(この大会が始まってからどことなく視線を感じる。というより、妙な魔力が渦巻いてる。下手に本気を出すわけにはいかないかな)
セリーナはこの闘技大会が始まってからずっと妙な視線を感じていた。それが、どのようなものか見極めようともしていたが、尻尾を見せないためそれも難しい。
(とにかく、何かが暗躍しているのは間違いなさそうだし、そうしたら間違いなく戦力がいる。私だけで出来ないことはないけど、かなり難しいしね。
とりあえずは、この子を本当に強い子に変えてあげないと)
『では、試合を始めます。
レディー、ファイ!』
瞬間。神威の姿が消えた。セリーナはすぐさま持っていた大剣(今使っているのはいつもの大剣ではなく刀身がまっすぐでたくさんの文字が刻まれている)を後ろに向け振る。その速さは普通の速さではなかった。
「ふへ?」
神威はあっけにとられた。最初から全力を出して自分の出せる最大の速さで後ろに回り込み迫ったのにも関わらず目の前の少女は何事もなく対応したのだ。だが、神威も負けてはいなかった。異常な速さで振るわれた大剣を二本の短刀をクロスさせ防ぐ。
「へぇ。これに対応できるんだ。性格とは違いかなり強引な攻めをするのね」
「な、何で?この速さに付いてこれるはずないのに……」
「簡単よ。だって、あなたの速さの出し方さえ分かってれば対応策はないことはないもの」
「え?私の速さの出し方がわかる?」
「ええ、今の一瞬さえあれば十分だもの」
セリーナは神威が消えた一瞬をしっかりと見ていたのだ。そして、その一瞬からその速さを可能にしている方法と対応策を紡ぎだしたのだ。
「嘘……」
神威はその事実を受け止められなかった。この学園に入ってからの三年間で自分の速さに対応できるものはいなかったのだ。ルークとミアはきちんと防御した上で止まったところを的確に攻撃し神威を倒している。つまり、神威の速さの術は誰にも暴かれておらず、対応もできていないのだ。言うなれば、防御に徹しきちんと隙をつく以外はないのだ。
だが、セリーナは違った。どのようにその速さを実現し、どうやって防げばいいのかすら暴き、神威の必殺の一撃を完全に防いだのだ。
実はこれには裏がある。セリーナはわざと神威に打ち込ませたのだ。前の試合をしっかりと見ていたセリーナだが、その速さがどのように生み出されているのかは理解できなかった。その為、最初から打ち込ませるためにわざと大剣を選び、なおかつ、打ち込んでは来ないだろうと見えるように態と力を抜き神威に打ち込ませ、その速さを見極めたのだ。
「なら試してみなさい」
神威はその言葉と共にセリーナに再度突撃を仕掛ける。
セリーナは腰にさしていた短剣を引き抜き、神威の突撃を防ぐ。
「まず、その速さの秘密ね」
セリーナは神威にしか聞こえないように小さな声でしゃべる。もちろん、その間にも神威は何度も神速の攻撃を仕掛け続ける。
「まずは自分の体に薄い空気の層を作って身体保護を作り出す。これで、怪我はないわね。
次に、身体強化。しかも、符術による簡易式。発動は任意で一瞬で発動が可能。これで蹴りだす瞬間に使ってスピードを作り出す。
最後に、風の魔法によって速さを倍加させる。これによってスピードは蹴りだしたときの数倍で、この間、僅か一秒にも満たないわね。
これで、突撃を仕掛ける。まあ、種が割れれば簡単ね。だって、風の魔法で常に自分を押しているのだもの。風の流れさえ読めれば対応はできる」
神威の動きが止まる。
「あ、あなたは何者なの?今まで、誰一人この方法を見破れた人はいないし、対応して見せた人もいない」
「試合が終わったら教えてあげる。断言するけどあなたのその術、間違いなく一級品よ。ここの教師だってそのスピードで3つの術式を発動なんてできないもの。だから、自信を持ちなさい」
「わ、分ったわ。わ、私の術を見破れる人からの言葉だもん」
セリーナはその言葉にうなずく。
「じゃあ、最後の講義ね。あなたの方法は確かにすごいけど、非効率的よ。もっと効率的にその速さを実現できるわ」
セリーナはそう言うとある術式を唱える。もちろん、古代魔法なのだが。
「【電光石火】」
瞬間、セリーナは神威の後ろにいた。
「速さを追い求めた人が作り出した術式よ。純粋に速さのみをあげるならこっちの方が明らかに効率がいい」
「は、はい」
「降参するかしら?」
「う、うん。だってこれ以上やったってたぶん勝てないから」
神威がそう言ったことにより決着はついた。
『決まったーーーーーーーーー!昨日は2時間近く時間をかけた戦いでしたが、本日はたった数分の攻防でした。ですが、やはりここまで来るだけあってすごい戦いを見せてくれました。両者に拍手をーーーーーーー!』
盛大な拍手が二人に送られる。
「あ、今日の夜私の部屋に来てもらえるかしら?」
「わ、私ですか?」
「だから、ここにはあなたしかいないでしょ。まあ、いいわ。お願いね」
「分りました」
こうして、準決勝第二試合は終わった。
何でこんな簡単な勝負に……。もっと長くてきつい勝負になるはずが、セリーナの強さを考慮して書いていたら、明らかにセリーナが強すぎる事態に。まあ、実際に強いわけですしいいんですが……。
とりあえず、これで次は決勝戦です。いい勝負をさせてあげられるといいな……。




