第陸話 授業
[2011/10/22]変換ミスを修正
ミアに問い詰められた翌日、セリーナは理事長室に前に来ていた。
クラスというものが存在していないため、どうするべきかなどは全く分かっていないためだ。
取る単位数は少なくてもいいと理事長からは言われているものの、さすがに取れる分は取らないといけないし、そもそもどんな授業があるのか全く説明を受けていない。
だから、それを聞くためにここまで来たのだがやっぱり入り辛く、数分間扉の前で固まっている。
意を決し扉をノックしようとしたとき。
「いい加減、入りなさいな」
「はい。失礼します」
中に入るとカリエラは紅茶を飲んでいた。
「やっぱり来たわね」
「そうですね。知ってる人はあなたしかいませんし…」
「まあ、いいわ。もともと呼ぶつもりだったし。出る授業を決めてもらうことについては説明が必要でしょ?」
「はい」
セリーナは迷わずうなずく。このまま、放置されても何もできない。なので黙って話を聞く。
「授業に関してだけど、あなたは魔法学と歴史学のみでいいわよ。後は戦闘系の授業すべて取ってもらうわ。それだけね。
後、やってもらう授業だけど後期からやってもらうわ。今は初秋の月だからすぐにやってもらうことになるわ。
ギルドで依頼を受けるときは後で集中講義をやってもらうことになるから気をつけてね」
「わかりました。では、今日は授業はありますか?」
「自分で見て頂戴。はい、これが授業予定表」
そう言って予定表を渡された。
「今日は火曜よ」
火曜の欄を見る。あったのは、実戦式戦闘講習と戦闘訓練。見てみるとほぼ毎日戦闘訓練の授業が組み込まれている。
「わかりました。戦闘訓練は無理に出なくてもいいんですか?」
「ええ、出る必要があると思っている人だけが出てるわね。まあ、戦闘をしない人くらいしか休まないけど」
「それは暗に出ろって言ってます?」
「出てくれるならいい刺激にはなると思ってね」
「わかりました。出させていただきます」
「助かるわ。ああ、それと、近々大規模なランキング戦が行われるわ。必ず参加してね」
「わかりました。…?ランキング戦って一年を通して組まれてるものじゃないんですか?」
ランキング戦。それは生徒の実力を測るものであり、毎日行われている。
「そうなのだけれど、今回のは毎年行っている闘技大会のようなものよ。普通のランキング戦と違って大きく順位の離れた相手とも戦える。それがいつものランキング戦と違うところよ。
あなたの場合、今後の相手を見極めるの必要だから絶対にでてもらうわ」
「わかりました」
「ああ、このランキング戦はS・Aランクに入ってる人は強制参加よ。まあ、Sランク一位の人は理由があって出ないけど」
そうして、そのあとも少し会話したあとセリーナは理事長室を後にした。
+++ † +++
セリーナは今、実戦式戦闘講習の講師と相対していた。実戦式戦闘講習の講師はセリーナの入試を担当した講師だった。名前はガンティス。もともと冒険者で紆余曲折あってこのアカデミーにきた講師だった。
ではなぜ、セリーナがいまそのガンティスと相対しているのかというと。
授業を受けに来て、始まった戦闘訓練を見ていると講師がやってきてこう言ったのだ。
『セリーナだったか?こいつらに本当の戦いってものをちゃんと見せてやりたいから手伝え。できるだろ?』
と言われ仕方なくやるはめになった。
使うことになったのは大剣。ハルバートじゃないのか?とも言われたが、どんな武器でも扱えるセリーナにとってはどんな武器でも問題ない。そのため、大剣を使うことにした。
「じゃあ、お前ら見とけよ。やるぞ」
見ている生徒にとってはセリーナは初めて見る生徒だ。その生徒がいきなり、ガンティスの相手をしろと指名を受けた。だからこそ、なぜ?という顔をしたものがほとんどだった。
しかし、戦闘が始まるとその顔は変わることとなる。
はじめに仕掛けたのはガンティス。使うのは片手剣。袈裟切りに振り下ろす。セリーナはそれを武器で受け止めた。
そして、受け止めたかと思うと次の瞬間にはガンティスは次の攻撃に入っており、それを見越したかのようにセリーナは受け流す。受け流すとすぐに流れのままガンティスに向け、大剣を水平に振る。
ガンティスはそれを楯で止めると無防備になったセリーナへと片手剣を振りかざす。それをセリーナは大剣をすぐさま地面へと突き刺し、体ごと避け距離を取る。
まさに実戦。普段であれば見ることも出来ない様な高度な技術満載の戦闘が目の前で行われている。切り方一つを取ってみても相手の隙を見抜き的確に入れる。それをうまくかわし次の攻撃に移る。その繰り返ししかしていない戦闘だったが、その中身はあり得ないほどの高度な技術が万歳だった。
10分ほど経ったころガンティスが戦闘をやめる。
「ふう。助かった。普段見れない技術を見せることがなかなかできんからな」
「そうですか。役に立てたようで私も嬉しいです」
その日、ガンティスのもとには彼女は何者かという生徒が続出した。
もちろん、答えられるのは編入生ということだけなので聞きに行った生徒は納得のいかない顔をしていたそうだ。
+++ † +++
その日、ルークはブラムスに言われ城の奥まで進んでいた。
「父上は何がしたんだろうな…。この奥にいった何があるんだ…」
何も知らされずただ行って来いと言われた。
その為、奥へ奥へとその歩みを進める。
しばらくすると、庭園が見えてきた。
「こんなところに庭園なんてあったか?」
確かに城は広かった。だけど、こんな庭園は見たことがない。
「いや、一度だけ来たな…」
小さい頃に一度だけ迷い込んだことをルークは思い出した。それは、もう遠い記憶でほとんど覚えていなかったが。
ふと思い返したように庭園の方を見るとそこには少女がいた。
「あら、いらっしゃい。ここにあなたが来たってことはブラムスが行けって言ったのかしら?」
国王でもあるブラムスを呼び捨てにした。それは、ルークには信じられなかった。
「あなたは?」
「もう、一度会っているのに忘れるなんてひどいわね。まあ、いいけど」
そう言って、無邪気に少女は笑う。
ルークは言われた言葉に疑問を抱かなかった。なぜだか、それがものすごくしっくりきたのだ。
「あなたには、お姉さまをここに呼んでほしいのよ」
と少女は言う。
「お姉さま?誰ですか?」
ルークは少女の頼みを聞いた。何の疑問も抱かずに少女の願いをかなえようと。
「あら、あなたが王都まで連れてきてくれたんじゃない。その人をここまで呼んで?」
「はい、わかりました。ところであなた様いったい…?」
ルークは最後に問うた。少女が何者なのかと。少女は答える。
「セフィリア・ティス・アインスフィア。初代王妃にして、この国の守護精霊よ。ちなみにあなたと召喚契約している楯の精霊は私の生み出した精霊よ」




