第壱話 アカデミー入学と新たな友達
無事、王都についたセリーナたちはまっすぐにアカデミーへと向っていた。
街中を歩きつつ、セリーナはルークと会話をし王都がラブリオールの首都であったハイゼンベルグであることがわかった。つまり、このスフィア王国とは旧ラブリオール王国であり、もうどこにもラブリオールという国はないということ。
なおかつベイシス・クリストフ・ラブリオールはスフィア王国の始祖でありサフィは王妃だったらしい。
セリーナはあらかたの情報を聞き終えた頃、アカデミーにたどり着いた。
「じゃあ、受付に案内するよ。ついてきてくれ」
ルークにそう言われ、セリーナはルークの後ろについてアカデミーの中に足を踏み入れた。
アカデミーの中の廊下はまるで王宮の廊下のように綺麗であった。
「綺麗ですね」
「まあな。国営だしな」
「そうなんですか」
「ああ。それに王国の騎士団や魔導師になれる確率もあがるしな」
そんな話をしていると受付にたどり着いた。
「ここが受付だよ。俺はクエストの報告してくるからまた後でな」
「はい、ここまでありがとうございました」
そう言って、ルークと別れ受付の人に話しかけた。
「どのような御用件でしょうか」
「入学の願書を提出しに来ました」
「では、推薦状はありますか。時期外れの入学には冒険者の方の推薦状が必要です」
そうなのかとセリーナは驚いた。しかし、そんなことを知らなかったセリーナはそんなもの持っていない。
そう考えていると、ふとビルレッティとファリアナに渡された封筒のことを思い出した。それで渡された封筒を取り出してみると推薦状が入っていた。
「これですか?」
「はい。ええっと、ビルレッティ様とファリアナ様ですね」
そういうと受付は受け取った。その後、
「すごいですね。Sランクになれるといわれているお二方の推薦をもらってくるなんて」
「知り合いなんです」
そう答えつつ内心、吃驚していた。まさかあの二人がそこまでの人物だと思っていなかったからである。
「そうですか。では、入学ですが了解しました。明日試験を行いますので明日の10時にこの受付まで来てください」
そう言われ、受付を後にする。
+++ † +++
受付に行き、クエストの完了を報告する。
「はい、確かに依頼品です。2単位認定です。これからも頑張ってください」
そう言われたが、進級用の単位自体はもう集まっているのだからあまり関係ないのだが。
そう思いつつもセリーナを待つために受付近くのベンチに座りセリーナを待つ。
待っていると授業がちょうど終わったのかたくさんの人が受付前を通り過ぎていく。
その中にミアの姿があり、ミアはルークに気付いたようで友達に声をかけてこちらにすごい形相で迫ってきた。
「ちょっとルーク!話したいんだけど、い・い・か・な!」
有無を言わさぬ物言いに思わずたじろいだが冷静に対応する。
「あ、ああ。なんだ?」
「ルークは私と結婚するのが嫌なの…?」
上目使いでルークに問いただす。ルークは思わず顔を赤く染めつつ答える。
「そ、そんなわけないだろ!俺だってお前のことは好きだし…。このまま、結婚していいのかって考えたんだよ!お前を幸せにできないんじゃ俺はきっと後悔するし…」
「えっ!」
それを聞いたミアも同様に赤面する。
「何してんのあなた達?」
振り向いてみると何かあきれたような顔をしているセリーナがいた。
+++ † +++
受付に背を向け歩き出そうと視線を前に向けてみるとルークが綺麗で可愛い女性と話している姿が目に入った。
青春してるねぇ。と思いつつもまた後でと言われたので声をかけようと近づいていると
「そ、そんなわけないだろ!俺だってお前のことは好きだし…。このまま、結婚していいのかって考えたんだよ!お前を幸せにできないんじゃ俺はきっと後悔するし…」
そんなルークのセリフが聞こえてきた。
まあ、なんというか受付の近くでこんなこっ恥ずかしいセリフをよく言えるなぁと考えつつ、声をかける。
「何してんのあなた達?」
声をかけたとたんルークと綺麗な女性が吃驚したのかビクンと肩をはねさせた後、セリーナのほうを振り向いた。
「お、おお、すまん」
何が済まないんだろうと思いつつも、とりあえずは女性のことを聞いたほうがいいと思いセリーナは問いかけた。
「そちらの方は?」
「あ、ああ。こいつはミア・シア・カシミア。商国カシミア王国の第3王女で俺のこ、こ、婚約者だ」
恥ずかしいのかどもっていた。
「こっちは、セリーナ・エインフェリア。クエストの途中で知り合って、アカデミーに入るってんで一緒にここまで来た」
「よろしくねミア」
「ええ、よろしくセリーナ」
+++ † +++
ミアはルークが紹介したこのセリーナという少女が何者なのかを“視”てしまっていた。
カシミアの王族に伝わる魔眼がある。それは、そのものがどういったものかを見極める魔眼である。つまり一種の透視なのである。
カシミア家はこの力を使い小さな商人の家系だったものを一王族まで押し上げたのだ。
なおこの魔眼で見えるものは様々だが、主に売る商品の信憑性において使用し有名になっていったのである。
ミアの受け継いだのは“物”を見る魔眼ではなく“人”を見る魔眼だった。
つまり、人の出身地などの情報を見ることができる魔眼である。あくまで情報だけであり思考までは読み取れないが。
しかし、ミアはこれを使ってセリーナの本当の名前を視てしまったのだ。
この少女が聖女セリーナ・A・アインスフィアであると。
だが、ミアはそれを胸に留めることにした。この少女がこの学校に入って寮に入ったならば問い詰めようと思ったのだ。
もし、この場で聞いてしまえばルークの耳にも入ってしまう。
もしそんなことになれば、王宮の中が大混乱に陥りかねない。
だから、ミアはその胸にその情報を収めた。
+++ † +++
街に出て二人と歩いているうちに次第に打ち解けあうことができた。特にセリーナとミアは好みが合うのか意外と仲良くなれた。
「お前ら本当にあったばっかかよ。長年友達だったみたいだぜ?」
「女の子には時間なんて関係ないの。息さえ合っちゃえばどんな話だってできるんだから」
ルークにそんなことをミアは言っていた。
セリーナにとってそれは人生で初めての経験だった。
「ねえ、ミア・ルーク。友達になってくれる?」
思わずそんなことをセリーナは言ってしまった。恥ずかしくて顔は真っ赤である。
ミアとはそんなセリーナを見て笑うと二人でこういった。
「ああ、もちろんさ」「ええ、もちろん」
こうしてセリーナに新たな友達ができたのだった。
誤字等がありましたら連絡おねがします




