②命を懸けて
「ロロ!」
「はい! 後ろを担当します!」
二人の必勝法。ロロはすぐに岩壁に背中を預けて姿勢を固定させると、いつでも魔法が放てるように詠唱を始める。俺は片手で長剣を引き抜くと、右端の六脚蜘蛛目がけて走りだしだ。
「オラァ! こっちだ、馬鹿垂れ!」
言葉が通じる訳ないが、挑発的な声で魔物の注意を一気に引き受ける。さらに長剣の一先で地面を叩き、大きな音を響かせた。騎乗種の小鬼の指示で、横一列に並んでいた魔物は一斉に体をこちらへと向け直すが、結果として縦に並ぶ形となってしまった。
六脚蜘蛛が背後の大黒蟻に向かって本能的に糸を放出。大黒蟻は白い糸で絡め取られた。
「まずは一匹!」
まだ一日だが、この戦い方でこの階層を生き抜いてきた。初手としては十分な成果。俺は正面で構えていた六脚蜘蛛の左右前足を斬り払い、前のめりに転倒させる。そして、すぐに頭の上部目がけて剣を突き立てた。
「これで二匹!」
ロロは動きを封じられた大黒蟻に向かって魔法を撃たない。
だが、これも予定の内。
動きを封じられた魔物ならばいつでも倒せる。彼は俺の背後から迫ろうとしてきた黒蝙蝠に向かって炎の球を放ち、一匹を焼き殺した。
「リュウさん! 後ろからさらに一匹がっ!」
「あいよ!」
振り返り、天井を見上げる。そこには黒蝙蝠が丁度翼を羽ばたかせながら小さな牙を見せ、飛びかかってきた瞬間だった。
「うおらぁっ!」
剣を振る暇はない。俺は剣を握ったままの拳で黒蝙蝠の顔面を打ち抜いた。牙を折られて墜落した黒蝙蝠の姿を見て動揺した周囲の隙間を縫って、追撃へと移る。
俺は地面ごと黒蝙蝠の体を長剣で貫いた。
「三匹目ぇ!」
残るは、大黒蟻が二匹と騎乗種のみとなった。




