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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第九章 初級冒険者、生き残る
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⑩休息の話題

 ロロが水筒の水を一口だけ含む。彼は自分の水筒を俺に渡そうとしたが、互いに水筒がある以上、自分の責任で消費する方が良い。俺は小さく手を左右に振った。


「しばらくしたら出発しましょう。地図はありませんが、冒険者が良く使う道ならば、床のコケや岩道がすり減っているはずです」

 それらしい彼の理由だが、俺達(白級)からすれば、その痕跡を見破る事は困難。最早、勘の域と言ってよい。

「あぁ、そうだな」

 だが、闇雲よりは余程いい。俺はロロの体を休めつつ、入ってきた道以外に続く二つの道の内、人が通った形跡がありそうな道を指し示した。

 当然、違いが分かる訳もない。直感である。


 さらに進んで一時間。

「………行き止まりか」

 方角は分からない。だが、辿り着いた場所は狭い小広間だった。先に続く道はなく、採掘場でもない。宝箱もなく、完全なハズレ道のようである。

「リュウさん。今日はここでひと眠りしましょう」

 正面にさえ気を付けながら、交代で休めば長時間の休息が確保できる。洞窟内で時間の感覚が狂いそうになるが、既に日は暮れているだろうという見解は一致していた。

「………分かった。俺は暖と毛布を用意しよう。ロロは魔物が入ってこないか警戒してくれ」

 ここに来るまでの戦闘は三回。魔物は大黒蟻、六脚蜘蛛、黒蝙蝠の三種類のみ。数は油断できないが、対応可能な数と種別の範囲で収まっている。俺も休める内に休むべきだと、彼の提案に賛成し、準備を始める事にした。



「リュウさん」

 部屋の隅で焚いた火を前に、ロロが干し肉を片手に声をかけてくる。

「リュウさんは、どうして冒険者になったのですか?」

 冒険者の過去を詮索する事はマナー違反に含まれるが、彼は尋ねてきた。

「ロロが先に教えてくれたら、話してやるぜ?」

 意地悪く返す。

 だが、彼はその返しを待っていたかのように、『分かりました』と簡単に口を開く。

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