⑧共闘
「そうですか………割と普通な事だと思うのですが」
「そうだな。多分………それが普通なんだろうな」
今まで普通ではなかった俺にとって、耳の痛い素直な言葉だった。
「えぇ。それにリュウさんは、僕と一緒にパーティを組んでから、ずっと僕の事を気にかけてくれました」
他の人とパーティを組んだ時は、さっさと魔物を倒したいからと魔法を強要してきたり、歩きが遅いと罵声を飛ばされてきたと告白する。
「それは………」
単に、一人で動いた方が早かったからである。彼を荷物持ち程度にしか思っておらず、戦力として考えていなかったからである。
決して、ロロが思い描くような眩しい理由ではない。
「俺だって他の奴等と同じだ。今更言うのも悪いが、俺は最初ロロを戦力として考えていなかった」
自分でもよく分からない事を言っている。適当に、優しい人間だと思わせた方がこの先楽になれると分かっているにも関わらず、俺はそれを良しとしなかった。
「ははは。やっぱり、リュウさんは優しい人ですね」
予想に反するように、ロロが辛そうにしつつも精一杯笑い始める。
訳が分からない。
彼と話すと、気が狂いそうになる。
だが、そんな状況を悪くないと思うもう一人の自分がいる。
「続きは、無事に帰ってからだ」
これ以上話すと、今までの自分が消えてなくなりそうだ。俺はそれらしい理由をつけて、会話を止める事にした。
歩き続けて約二時間。
「ロロ!」
頬を伝う汗を無視しながら俺は正面の大黒蟻に長剣を構え、ゆっくりと右へ、右へと足で地面を擦るように立ち位置をずらしていく。
「も、もう少しです! あ、今!」
「おう!」
彼の合図で、即座に逆方向である左へと飛ぶ。
瞬間。
俺が先程まで立っていた場所に大量の糸が吐かれ、大黒蟻は正面からそれを浴びた。
六脚蜘蛛の習性を利用し、大黒蟻を糸を吐く腹部の延長線上へと誘導。見事、大黒蟻の動きを封じ込めるこ事に成功する。
これで三匹目。
片足を折ったロロは、六脚蜘蛛の正面で岩壁に体を預けながら対峙し続ける。六脚蜘蛛が彼に飛びかかれば一巻の終わりだが、俺がその背後で魔物を常に連れてくるものだから、六脚蜘蛛も糸を吐く事に注意を割かれ、飛びかかれるタイミングを失っていた。
こちらも糸に巻き付かれたら、命はない。




