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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第十章 冒険者、魔王軍を名乗る戦士と戦う
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①突入

 砦は左右正面の三棟から成り立っていた。俺達は砦の中庭へと入ると、既に扉が蹴破られていた左の建物へと突入した。


「………誰もいませんね」と、ロロ。

 正確には、盗賊達の死体が数体転がっている。だが、戦うべき敵も救うべき冒険者(味方)の姿もない。

「流石に先輩達も、こんな所じゃ負けないって事か」

 フォースィから、砦に突入した冒険者の多くが銀等級(シルバー)である事を聞かされている。全員がそうでないにしても、多くの冒険者達がアルゼット(姉弟子)に匹敵すると考えれば、盗賊程度が無事に生きて帰れる訳がない。


「………っ? 階段を上がってくる音が聞こえますね」

 アイリーンが耳に手を当て、俺達もそれに倣う。

 確かに、部屋の奥にある地下からゆっくりと石をぺたりぺたりと、水音の様な音が聞こえてくる。

 同業者か、それとも。

「裸足の音です。リュウさん、冒険者ではありません」

「………その通りだ」

 俺は腰の長剣(ロングソード)を抜いた。


 石壁に手を当て、部屋へと上がってきたのは一人の若い女性だった。色褪せた革の胸当てを纏い、右手には既に抜かれた短剣が握られている。

 彼女もこちらの存在に気付き、すぐに睨みつけてきた。

「く、くそっ! こんな所で!」

「盗賊にしちゃぁ………随分と」

 外見だけで判断すべきではないが、首には冒険者証もなく、こちらを見て驚いた事からも味方ではない。かといって盗賊にしては体は貧弱、靴もなく、装備がお粗末すぎる。

 階段からは彼女だけでなく、五人の若い男女が続々と現れた。

「リュウさん………この人達は、奴隷です」

「奴隷? だが―――」

 ロロの言葉に驚かせたが、奴隷にあるべき手足の枷や鎖がない。だが、アイリーンも一歩前に出ると魔導杖を前へと向けて構えた。

「覚えてない? あれはアリアスの村から運んできた人達よ」

 その言葉に、記憶の引き出しが一気に開かれる。

 彼女は、俺達が運んでいた奴隷の中にいた犯罪者達だった。

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