⑥圧倒的な差で理解させよう
「お、俺の腕がっ! 足がぁぁぁぁっ! し、死ぬ! 死んじまうぅぅぅぅ!」
「大丈夫大丈夫。まだ死なないさ。ほら、雷の熱で断面からの出血は既に止まっているから」
地面に落下し、片腕しか残されていないガーヴィがじたばたと地面の上で溺れているが、青年の言う通り出血は斬られた一瞬のみで切断面からは何も出ていない。彼の周りが汚れているのは、床で別れた手足が転がっている面から出ている分だけである。
「さぁて………自称魔王軍の幹部さんとやら」
青年が残った左手首を踵で踏みつけ、ガーヴィの動きを完全に封じる。
「色々と聞きたい事があるんだが………勿論、答えてくれるよな?」
「はっ、誰が人間の—――ひっ!」
未だ強気な彼の顔の横に、赤く汚れた三日月斧の先端が落下した。重量のある金属の塊は石床を簡単に突き砕き、白銀の刃がガーヴィの側面にあった段々の毛並みを綺麗に揃える。
「あぁ、すみません。手が滑りました」
コルティの無垢な笑みがガーヴィを見降ろす。何も悪気のない、後悔も興味も怒りすらもない無関心。吸い込まれていくような彼女の瞳の奥には果てしない虚無がつくられていた。
「おーぃ、もう一度言うぞ?」
腰を降ろした青年が、自分の視線と合わせるように、震える彼の顎を指でくいと引き寄せる。
「な? 答えてくれるよな?」
震えて歯を鳴らすガーヴィは、何度も頷いた。




