④自称四天王
「そこが良いんだよ。素直で、まっすぐな所がさ。俺は良いバカは大好きだぞ?」
「ものも言い様です。この場合、褒めた表現になっていないのですが」
「まぁな」
今更言っても始まらない。コルティは半分以上の悩みを地面に投げ捨てると、後頭部を掻いて割り切る事にした。
「ナルホドー、とても強いようですね。生きて帰れるかどうか、不安デスー」
真面目になり切れない彼女の言葉は棒読みだった。
だが、目の前の狼亜人にはその違いを理解できなかった。相手が自分の力量に適わないと知った絶望、その環境をしっしと何度も噛みしめ、悦に浸っている。
「も………もしかして、まだ他にも幹部がこの砦にいるのか!?」
青年の焦りに、ガーヴィが顔の前で長い指を左右に振るう。
「いや、ここには俺様だけだ。他にもあと三人いるんだが………まぁ、魔王軍四天王の中では、この俺様が最強よ。お前等なんざ、俺様一人で十分だ」
「成程、四天王の中では最弱、と」
「最強だ! 間違えるんじゃねぇ!」「あーはいはい。ごめんねーごめんねー」
新たな情報を手にした青年は、深呼吸しながら笑いに堪え、先程の表情とはうって変わって余裕の表情を見せ始めた。
「………何を笑っていやがる。実力の違いで、頭でもおかしくなったか?」
感情に支配されやすいガーヴィが、不愉快な表情へと移行する。
「いやいや。ここは最弱って言ってくれないと」
「自分で言うかよ! 馬鹿じゃねぇのかっ!?」
流石にそこは気付かれた。
「ちぇ、せっかく魔王軍の面汚しめって言いたかったのに」
「御主人様………その流れでは、私達もやられる側になってしまいます」
コルティの言葉に、青年が掌に拳を落として『しまった』と笑う。
ガーヴィの表情の中心に、皺が集まっていく。
だが、青年は全く気にしない。




