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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第九章 冒険者、砦と相対する
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⑱弱さを認める事

「俺は強くなりたい。その為にも、経験出来る事はここで一つでも多く積んでおきたい」

 洞窟で遭難した時、遥か格上とはいえ魔獣相手に手も足も出なかった。昇級試験では、同格のリーダー相手を説得しきれず、荷物に損失を与えたばかりか、首領らしき猪亜人(オーク)を倒す事も出来なかった。加護の魅力に囚われ、英雄気取りで周囲を無視した行動をとった事など、つい先程の事だ。

 ここぞという時、俺はまだ自分の力でまともに勝った事がない。

 昇級を果たし、この先はさらに危険の大きな依頼を受けられる。そうなれば、自分だけでなく仲間を守るだけの力が今まで以上に求められる、そして幼馴染を奴隷から解放し、守れるだけの質も問われる。

 俺は今の弱い自分が許せなかった。


「いつか似たような状況に直面するなら、仲間の多い今の方が多く学べるし、安全のはずだ」

 冒険者である以上、いつか人間(同族)とも命を奪い合う事もある。今回の様に拠点を対象とした依頼を受ける事もあるかもしれない。いや、遅かれ早かれ必ずくる。その時に、『初めてだから分からない』では済まされない。


「………分かったわ。なら、行ってみましょうか」

「師匠!?」「フォースィ様!?」

 安全策を取るとばかり考えていたロロとアイリーンが、リーダーの決断に驚く。

 だが彼女は人差し指を立て、条件を提示する。

「悪いけど、先の加護は付与しないわ。さっきみたいな馬鹿になられても困るからね………まぁ、回復と、そうね、助言くらいは、()()()()()()()してあげるわ」

「構わない。俺としても頼り過ぎず、今の実力で色々と学びたいからな」

 元々断るつもりだった。むしろ助言と回復が約束出来ただけでも儲けものである。

「あと、私が撤退すると言ったら素直に従う事」

「………分かった」

 リーダは彼女だ。俺は当然であると小さく頷く。

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