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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第九章 冒険者、砦と相対する
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⑰二つの道

 何故なら作戦はまだ終わっていない。俺達にはまだやるべき事がある。

「何はともあれ、一番の問題だった扉は壊れたんだ。このままずっと遠目で見学っていうのも、少し寂しいんじゃないか?」

 既に崩れた扉の上を他の冒険者パーティが次々と乗り越え、砦内部へと突入している。付近の城壁にいた盗賊達は真っ先に掃討されたらしく、侵入を拒むような攻撃は完全に無力化されていた。


「リュウさん」

 ロロが心配そうな顔でこちらを見てくる。

「大丈夫だ。加護はしっかり切れてるよ。今はシラフだ」

 決して、感情的な意見ではない事を自分から断っておく。

「一応言っておきますが、私達の役目はもう果たせています」

 アイリーンは慎重を唱えた。

「このまま砦が落ちるまで待機し、戻って来た冒険者達に薬や水を配るだけで、規定通りの報酬がもらえます。それに、下手に私達が砦に突入しては、反って迷惑になるかもしれません」

「………足手纏いになる可能性は否定しない。だが、水にしろ薬にしろ、その場で配った方が向こうにとっては有り難いだろう?」

 負傷した冒険者全員が砦から出られる状態とは限らない。怪我によってはその場に置いていかざるを得ない、仲間を後方へと運ぶ為に人数を割かなければならない事も十二分にあり得る。


 ロロとアイリーンが意見を出し終えた所で、フォースィが俺に近付いてきた。

「それで、本音は?」

 やはり、この人には見抜かれている。俺は大木を背にしながら立ち上がると、自分の掌を見つめる様に胸の前まで上げ、そのまま拳を強く握りしめた。

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