⑮後半戦へ
「………次が、本攻めだったな」
周りには申し訳ないと思いつつ、自分から話を切り替えた。
そして俺は大木の影から砦を覗き込む。盗賊達は俺達を撃退した事に満足したのか、当初の予想通り後方への援護へと向かっていく様子が伺える。
「攻撃魔法で扉を撃ち破るとの事でしたが」
ロロも別の大木から扉を覗き、未だ硬く閉ざされている唯一の入口を不安そうに睨みつけた。
「あんな頑丈な扉………どうやって壊すのでしょうか」
アイリーンもロロの頭の上から顔を出しているが、扉には一向に変化がない。
「そろそろね」
俺達の後ろでフォースィが空を見上げた。
それと同時に、森の奥から巨大な炎の渦が扉へと向かい、激しく衝突した。
「「「うおおぉぉぉぉああぁぁぁっ!」」」
衝突時の熱波と衝撃波が細かな枝葉と共に俺達の表情を波立たせる。
「あらあら、大袈裟ねぇ」
「いやいや、大袈裟にもなるだろう!」
微笑のまま首を傾けるフォースィに、若干皮膚に赤みを生み出した俺が反論する。
襲いかかってきた熱波と共に枝らしき小さな欠片が頬を掠めていった。分かっていたならば、顔を引っ込めろと言って欲しかった。ロロもアイリーンも固まった表情のまま大木の影へと体を戻し、熱くなった顔を必死に擦っている。
俺が今一度門を覗き込むと、大扉とその左右にあった櫓、それらを繋ぐ通路が、完全に崩れ落ちていた。
「………何なんだよ、あの威力は」
初めて見た大規模な攻撃魔法に、冷や汗が止まらない。
「あれは………恐らくファイアーボールですね」
ロロが呟いた。
炎の球を相手に向かって放つ魔法。炎を得意とする魔法使いのほぼ全てが最初に覚えるものであり、俺自身もロロがかつて洞窟内で中型の魔物相手に放ってきた姿を何度も見てきている。




