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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第九章 冒険者、砦と相対する
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⑧最悪の担当

 ロロが顎に手を置き、短く唸る。

「僕達のような即席パーティの集団としては、簡単な指示の方が失敗し辛い………明確で分かりやすい作戦だと思います」

「あら、先輩達に何か思う所でもあるのかしら?」

 彼の評価に、フォースィが意地悪く頬を吊り上げる。

「ちちち、違いますよ! 良い案ですと言っただけです!」

「落ち着けロロ。揶揄われているだけだ」

 他人事の目線だと良く分かる。


 ここは俺の方から話を繋いでみる事にした。

「それで? 俺達が担当するのはどこになるんだ?」

 まさか、青銅半級(ハーフブロンズ)で占められたパーティを最前線に送るはずがない。俺は後方の櫓を狙う役のどちらかになると予測した。


「そうね。もう決まっているわ」

 フォースィが白石の上に、杖の先端を乗せる。

「扉の牽制からの撤退。その後引き返して突破する役ね」

「ゴリゴリの最前線じゃねぇかっ!」

「ひぃぃぃぃ! 死んじゃいます!」

 俺もロロも思わず声を荒げてしまった。

「リュウさん。貴方も揶揄われてますよ?」

 アイリーンが溜息交じりに俺の肩に手を置く。

 

 だが、フォースィは俺達の顔を一瞥してから首を傾げた。

「嘘じゃないわ本当よ。私達が扉を担当するのよ」

「ふぉ、フォースィさん!? 私達死んじゃいますって!」

 アイリーンが一番五月蠅かった。

「大丈夫よ。貴方達が死ぬ前には、下がるように声を掛けてあげるから」

 簡単な子どものお使いだと言わんばかりの安そうな言葉に、俺達は一斉に疑問の目を向けざるを得なかった。

「そんな目をしても無駄よ。もう他のパーティは、作戦に向けて動いているのだから」

 それに、と彼女が白石を回収しながら付け加える。

「早く切り替えないと、本当に死んでしまうわよ?」

 最後に見せたフォースィの瞳は冗談に聞こえない深さであった。

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