⑧最悪の担当
ロロが顎に手を置き、短く唸る。
「僕達のような即席パーティの集団としては、簡単な指示の方が失敗し辛い………明確で分かりやすい作戦だと思います」
「あら、先輩達に何か思う所でもあるのかしら?」
彼の評価に、フォースィが意地悪く頬を吊り上げる。
「ちちち、違いますよ! 良い案ですと言っただけです!」
「落ち着けロロ。揶揄われているだけだ」
他人事の目線だと良く分かる。
ここは俺の方から話を繋いでみる事にした。
「それで? 俺達が担当するのはどこになるんだ?」
まさか、青銅半級で占められたパーティを最前線に送るはずがない。俺は後方の櫓を狙う役のどちらかになると予測した。
「そうね。もう決まっているわ」
フォースィが白石の上に、杖の先端を乗せる。
「扉の牽制からの撤退。その後引き返して突破する役ね」
「ゴリゴリの最前線じゃねぇかっ!」
「ひぃぃぃぃ! 死んじゃいます!」
俺もロロも思わず声を荒げてしまった。
「リュウさん。貴方も揶揄われてますよ?」
アイリーンが溜息交じりに俺の肩に手を置く。
だが、フォースィは俺達の顔を一瞥してから首を傾げた。
「嘘じゃないわ本当よ。私達が扉を担当するのよ」
「ふぉ、フォースィさん!? 私達死んじゃいますって!」
アイリーンが一番五月蠅かった。
「大丈夫よ。貴方達が死ぬ前には、下がるように声を掛けてあげるから」
簡単な子どものお使いだと言わんばかりの安そうな言葉に、俺達は一斉に疑問の目を向けざるを得なかった。
「そんな目をしても無駄よ。もう他のパーティは、作戦に向けて動いているのだから」
それに、と彼女が白石を回収しながら付け加える。
「早く切り替えないと、本当に死んでしまうわよ?」
最後に見せたフォースィの瞳は冗談に聞こえない深さであった。




