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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第九章 冒険者、砦と相対する
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⑤バーニャ砦の偵察

 グーリンスの街南部にある森には、かつて亜人、当時は蛮族と呼ばれていた者達と戦った砦が今も尚残されている。

 その名をバーニャ砦という。

 ウィンフォス王国は蛮族との戦争によって討ち破った彼等の地を新たな領地とし、その後発生した隣国との戦争では、蛮族の力を利用した。そして戦後、蛮族達が王国の文明を受け入れて共存の道を選んだ事により、砦はその目的を失った。

 つまり、今では放棄された砦跡としての名残しかない。

 事前の情報では、そう聞かされていた。



「―――の割には、形が結構残ってるように見えるのは、気のせいか?」

 森の切れ目。大木の影から覗き見る砦の入口は、補修された鉄枠と木材による大扉によって封じられている。砦を囲う城壁は土台を石で、壁を高さの異なる木材で覆っている粗さが残るが、壁の前には堀があり、僅かな角度からだが、杭が何本も生えている姿を見る事が出来た。

「材質はともかく、砦としての機能は十分に生きています。扉の左右には櫓もあり、弓を持った見張りが二人ずついますね」

 ロロが目を細め、周辺の把握に努める。

「ここまでは簡単に来られましたが、どうやって中に入るのでしょうか?」

 青銅級(ブロンズ)といえど、アイリーンには即案がない。そもそも、青銅半級(ハーフブロンズ)になりたての俺達だけでは突破は不可能だ。それ位は俺にも分かる。


 俺は大木の影に戻り、背中を預けて座る。

「取り敢えず、リーダーの帰りを待つとしよう」

 全パーティの到着を終え、再びフォースィ達は各リーダー達と作戦を練りに向かっている。その間、俺達は斥候として砦の周辺をぐるりと回っていた。

「状況は確認できました。皆さん、そろそろ戻りましょう」

 見つかったら面倒な事になる。ロロの言葉に、俺もアイリーンも静かに頷いた。

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