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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第九章 冒険者、砦と相対する
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④洗礼完了

「「おろろろろろろろろろろ」」

 俺達はそれぞれ異なる大木へと向かい、屈んだ所でそれを一気に放出する。

「馬鹿ねぇ」

 フォースィだけが肩を揺らして小さく笑っていた。


「酷いっ!」

「師匠、流石に酷いです」

 アイリーンも戻り、俺達三人の顔は上質紙の様に白くなっていた。

「これから何度も見るのだから、今の内にさっさと胃の中を軽くしておきなさい」

「だからって、無理矢理―――」「―――それが嫌なら、今後は直前に飲み食いしない事ね」

 反論しようにも、俺はそれ以上何も言えなかった。


 要は馬車に乗る前から既に決まっていた事だった。

 俺達は森の中に入れば、しばらく食事が出来ないと考え、馬車の中で食事を済ませてしまった。だが、反ってそれが今の状況を作り出す悪手に繋がったのだ。

 思い返せば、フォースィは馬車に乗ってからというものの食事らしい固形物を全く摂っておらず、時折水を数口飲んでいただけだった。


「経験という根拠は、生きた知識なの。本や人からの話を無駄とは言わないけれど、経験で学んだ事の方が遥かに身に付くし、応用も利くし、思い出しやすく、何しろ忘れない。冒険者として最後まで生き残りたいのなら、死ななくて良い時に一つでも多く経験を重ねる事ね」

 熟練(ベテラン)と呼ばれる冒険者の言葉は重たかった。

「だからって師匠………さすがにこれ位は教えてくれても」

 ロロの必死の応戦に、アイリーンも必死に何度も頷く。

 頑張れ、ロロ。

「あら、お陰で次からは絶対にやらないでしょう?」

「「「ぐむぅ」」」

 俺達は項垂れて諦めるしかなかった。

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