②慣れるしかない
「さぁ、先を急ぎましょう」
フォースィが木の枝に吊るされた蔓の結び目を指さし、一歩を踏み出す。
蔓の結び目、それは道標である。
リーダー達の話し合いにより、俺達のパーティは後衛へと回されている。等級の総合力が高いパーティ順に森へと入り、その後ろを追いかけていく。負傷等で先頭が足を止めても、後続が交代して先に進む。その際、外側の樹皮だけを残すように枝を折り、その近くに蔓の結び目を作る。そして、草が分けられた道を進めば、前を進んだパーティの方角が概ね予想出来る。
らしい。
俺達は各馬車から残った食料や水、回復薬を多めに受け取り、それを運ぶパーティの一つとして抜擢された。不満は残るが、全体の中で最も安全な位置でもある。参加者の中で最も新参者である以上、文句は言えない。
「ふぉ、フォースィさん」
大木が、いやその陰にいるアイリーンが力の無い声で言葉を送ってきた。
「ちょっと迂回して進みませんか?」
「駄目よ」
リーダーが遠慮なしに提案を払う。
「遠回りすればする程、先頭との距離が離れていく。もしも、誰かが一秒でも早く助けを求める程の怪我をしていたら? 貴女は『死体が怖くて回り道していた』と言うつもり?」
「頼むぜ、先輩。俺より上なんだから………そもそも、それなりに見慣れているんじゃないのかよ?」
半分揶揄う目的で、俺もその会話に乗る。
「今まで、魔物の死体ばっかりだったのよ! あったとしても、馬車に襲われた数人位で………あとは親戚のお葬式とか」
「あら、随分と頼もしい青銅級ね」
いつものですます調から語気が強くなるが、即座にフォースィから皮肉を送られた。




