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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
—亜人を率いる者―
213/242

①遭遇

「随分と数が多いな」

 青年は森の中で正面で立ち塞がる五人の盗賊に足を止められる。

「これで三度目です」

 コルティが振り返り、後方の三人と向き合う。

 合計八人の大所帯。


「へっ! たったの二人だけだけか。一人は………何だよ、ド素人の(ホワイト)かよ!」

「だが、亜人の女の方はかなりの上玉だ。お前等、生かして捕らえるぞ!」

 下品な笑いが周囲に立ち込める。


「しかし、御主人様の言った通り………本当に人間と亜人の組み合わせですね」

 人間が五人、狼と犬型の亜人が三人。互いに嫌い合う種族としては珍しい光景だった。

「一応、試してみるか?」

 品のない盗賊達を余所に、青年とコルティが話を進めていく。

 そして青年は胸の前で両手を勢いよく、しかし綺麗に叩き合わせた。

 大きな音が鳴り、驚いた盗賊達が一斉に声を失う。

「………いただきます」

 青年の言葉に、森は静かな瞬間を手に入れた。


「はぁ? 何なんだ、今のはよ?」

 青年の前にいる鶏冠(とさか)髪の盗賊が、筋肉の及ぶ限りに眉を潜めながら、汚れた鉈を左右に振り始める。

「………ほらな?」

 青年が予想通りだと肩をすくめた。

「へっ。俺達魔王軍と出会ったのが、運の尽きだったな」

 上半身裸で灰色の毛におおわれた狼亜人(ライカンスロープ)の男が、長剣(ロングソード)を腰から抜く。


「成程。オレタチマオウグン、ですか。また随分と、変わった名前ですね」

「魔王軍だ! てめぇ、わざと間違えたな!?」

「はい」

 コルティの鼻から溜息が漏れる。

「名乗るならば、せめて外見だけでも似せて欲しいものです」

「同感だ。定番過ぎて、こっちが恥ずかしくなる」

 青年とコルティが小さく頷いた。

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