①遭遇
「随分と数が多いな」
青年は森の中で正面で立ち塞がる五人の盗賊に足を止められる。
「これで三度目です」
コルティが振り返り、後方の三人と向き合う。
合計八人の大所帯。
「へっ! たったの二人だけだけか。一人は………何だよ、ド素人の白かよ!」
「だが、亜人の女の方はかなりの上玉だ。お前等、生かして捕らえるぞ!」
下品な笑いが周囲に立ち込める。
「しかし、御主人様の言った通り………本当に人間と亜人の組み合わせですね」
人間が五人、狼と犬型の亜人が三人。互いに嫌い合う種族としては珍しい光景だった。
「一応、試してみるか?」
品のない盗賊達を余所に、青年とコルティが話を進めていく。
そして青年は胸の前で両手を勢いよく、しかし綺麗に叩き合わせた。
大きな音が鳴り、驚いた盗賊達が一斉に声を失う。
「………いただきます」
青年の言葉に、森は静かな瞬間を手に入れた。
「はぁ? 何なんだ、今のはよ?」
青年の前にいる鶏冠髪の盗賊が、筋肉の及ぶ限りに眉を潜めながら、汚れた鉈を左右に振り始める。
「………ほらな?」
青年が予想通りだと肩をすくめた。
「へっ。俺達魔王軍と出会ったのが、運の尽きだったな」
上半身裸で灰色の毛におおわれた狼亜人の男が、長剣を腰から抜く。
「成程。オレタチマオウグン、ですか。また随分と、変わった名前ですね」
「魔王軍だ! てめぇ、わざと間違えたな!?」
「はい」
コルティの鼻から溜息が漏れる。
「名乗るならば、せめて外見だけでも似せて欲しいものです」
「同感だ。定番過ぎて、こっちが恥ずかしくなる」
青年とコルティが小さく頷いた。




