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Lost13 無名の青年が無名で終われる物語  作者: JHST
第八章 冒険者、大討伐に参加する
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⑫気が付けば最後尾

 アイリーンが小さな革鞄に詰めた薬品をフォースィに見せる。

「一応、フォースィさんにも—――」「私の分は要らないわ。三人で分けて頂戴」

 黄金(ゴールド)級の冒険者にどこまで気を遣うべきか。俺達は悩んでの結論だったが、彼女は何もいらないと、感情の起伏なくきっぱり言い放つ。

 ロロとアイリーンが互いに目を合わせ、眉を潜めながら困惑している。

「いいのか?」

 代表として、念の為確認する。


 フォースィは左右の腰に手を乗せると、半分呆れながら説明を始めた。

「良いも悪いも、私が(それ)を使う状況になっている時点で、貴方達は全員死んでいるから。悪いけれど、そうなる前に撤退するわよ」

 淡々とした表情での言葉に、俺達は息を飲まされる。

「………冗談よ」

 後付けされた笑顔を見せられたが、全く冗談に聞こえなかった。

「気遣いは不要という意味よ。とにかく貴方達は、自分を優先して生き残る事を第一に考えなさい。どこかの冒険解説職(チュートリアラ―)程ではないけれど、世話位は焼いてあげるから」

 冒険解説職(チュートリアラ―)。その言葉に、俺は周囲をゆっくりと見渡してみるが、目立つはずの二人の姿が既にない。

「二人なら、既に森の中に入っていったわ………大丈夫よ。ああ見えて、誰よりもしぶといから」

 フォースィも森の奥を見通すように目を細め、頬を小さく緩めていく。


「ギルドでも気さくに話していましたが、フォースィさんは、ショーンさんとお知り合い何ですか?」

 俺が聞きたかった問いを、ロロが代弁してくれた。

「知り合い? そうね」

 意地の悪そうに、フォースィが口元に指を置いて軽く肩を揺らす。

「もし()()()()冒険者の中で、彼を知らない人がいたら………それは()()ね」

 明確な回答ではなかったが、少なくともあの冒険解説職(チュートリアラ―)がただ者ではない事が再認識できた。特に情報が更新された訳ではないが、益々彼についての疑問が増えた事だけは確かである。


「さぁ、行きましょう。他のパーティは既に森の中へと入っていったわ」

 フォースィは俺達に背を向け、森に向かって歩き始めた。

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